開発コードナンバーRX87のクーペ【2】専用ロータリーエンジンが用意された最初で最後のFFロータリー駆動モデル|1971年式 マツダ ルーチェロータリークーペ

東京モーターショーに出展した際の開発ナンバーである「RX87」がエンブレムとしてドア後方に装着された。スーパーデラックスはオレンジで、デラックスの場合はブルーとなっている

【1】から続く

待望のクーペボディを手に入れたルーチェには専用の2ローターの13A型が用意された。
ファミリアロータリーなどに搭載された10A型より、ローターの外径、ハウジングの内径が大きく、排気量は655㏄×2となり、高性能化したもの。

それを、マツダ車としては初となる前輪駆動(FF)とした点もこのクルマにかけた思いの強さを推し量ることができる。
それ以降、マツダから純粋なエンジン動力で駆動するFFのロータリーエンジン搭載車は発表されていない。
ルーチェロータリークーペは最初で最後のFFロータリーなのである。

【画像17枚】セダンに比べ、全長で215㎜、ホイールベースで80㎜長く、全高は25㎜低い、ロング&ローのプロポーションを持ち、居住性も高いクーペ。

その乗り味は独特で、ステアリングを切るとその方向へと舵を持っていかれそうな力がかかり、不安を感じさせるもの。しかしながらエンジンは静かで、滑らかに動き出す車体に感動すら覚えるほどだ。

マツダデザインの1つの頂点であり、意欲的な機構を備えたフラッグシップであったルーチェロータリークーペだったが、当時としてはあまりに高い価格設定、初期のFFの問題点であったオーバーヒートを解決できず、販売は不調。
1970年6月には13A型エンジンの生産をストップし、実質的な生産中止となり、その後2年に渡る在庫整理ののち、72年9月をもって販売終了がアナウンスされた。


>>フロントグリル内にあるロータリーを型取ったゴールドのマツダエンブレムはオーナーのお気に入りポイント。



>>ルーチェロータリークーペのみに採用された13A型。ちなみに寸法、排気量とも13B型とはまったく違うエンジンである。



>>約1年かけてフルレストアを行なったボディはもちろん純正カラーへとオールペイントされたもの。間違いなく現存する同型車両の中でトップレベルの美しさ。

主要諸元 SPECIFICATIONS
1971年式 マツダ ルーチェロータリークーペ(M13P)

全長 4585mm
全幅 1635mm
全高 1385mm
ホイールベース 2580mm
トレッド前/後 1330/1325mm
最低地上高 185mm
室内長 1605mm
室内幅 1355mm
室内高 1095mm
車両重量 1255㎏
乗車定員 5名
最高速度 190㎞/h
登坂能力 29°16′
最小回転半径 5.3m
エンジン型式 13A型
エンジン種類 2ローター・ロータリー
総排気量 655㏄×2
圧縮比 9.1:1
最高出力 126ps/6000rpm
最大トルク 17.5㎏-m/3500rpm
変速比1速 3.727/2速2.176/3速1.391/4速1.037/後退3.727
最終減速比 3.900
燃料タンク容量 65ℓ
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション 前ダブルウイッシュボーン・トーションラバー/後セミトレーリングアーム(コイルスプリング)
ブレーキ 前ディスク/後リーディング&トレーリング
タイヤ 前後とも165HR15
発売当時価格 175万円

【1】から続く
【3】へ続く

1971年式 マツダ ルーチェロータリークーペ(全3記事)
初出:ノスタルジックヒーロー 2020年4月号 Vol.198

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
関連記事:マツダの100年

photo:Nobutaka Koremoto/是本信高 cooperation : ガレージスターフィールド

RECOMMENDED

RELATED

RANKING