L10B【1】マツダロータリーの始まり。スピードレンジ以外は、今もリアルスポーツ|1969年式 マツダ コスモスポーツ L10B

1969年式 マツダ コスモスポーツ L10B

       
【マツダの100年 1969年式 マツダ コスモスポーツ vol.1】

 2020年はマツダ創業100周年にあたる。そのこともあり「ノスタルジック2デイズ2020」のイメージカーは、コスモスポーツとなった。このクルマは世界初の2ローター・ロータリーエンジン(以下、RE)を搭載したクルマだ。マツダといえば、REというイメージは、搭載車を市販していない今でも連綿と引き継がれている。それほどロータリーショックは、クルマ好きのハートをつかみ、フリークを生み出したのだ。

 そもそもヴァンケル式REは、夢の新世代エンジンとして世界中の自動車メーカーが開発に名乗りを上げた。しかし4輪で市販化したのは、ドイツのNSUとマツダの2社だけ。ただ1967年のコスモスポーツの発売から2012年のRX‐8の生産中止まで、45年間と長きにわたってREを熟成させてきたのはマツダだけの偉業といえる。

 60年代に入ってソビエトとアメリカによる宇宙開発が本格化して、ロケット開発には当時の最先端技術を投入。めざましい技術革新の波が訪れていた。それと時を同じくして多くの自動車メーカーが取り組んだREの開発は、当時の最先端の自動車技術とされていたのだ。世界で唯一の量産化2ローターREを開発したマツダは、宇宙時代にふさわしいクルマとして、コスモスポーツを誕生させたのである。

【画像22枚】プロトタイプや前期型のフロント部分は、薄さを強調した前面投影面積を極力抑えたものだが、後期型は大胆な開口部が設定され、冷却性を考慮したものとなっている



>>後期型のフロント周りは、バンパー下の開口部が大型化され、左右にブレーキ冷却用の開口部が設定されたことが前期型との大きな違い。



>>リアの特徴は、バンパーで上下に2分割されたテールランプ。オーナーは、テールランプごときに、4とも型を用意するぜいたくな作りこそ、コスモスポーツらしいと言う。
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主要諸元 SPECIFICATIONS
1969年式 マツダ コスモスポーツ L10B

全長 4130mm
全幅 1590mm
全高 1165mm
ホイールベース 2350mm
トレッド前/後 1260/1250mm
最低地上高 125mm
室内長 870mm
室内幅 1300mm
室内高 990mm
車両重量 960kg
乗車定員 2名
最高速度 200km/h
登坂能力 tanθ0.553
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 10A型
エンジン種類 水冷2ローター・ロータリー
総排気量 491cc×2
圧縮比 9.4:1
最高出力 128ps/7000rpm
最大トルク 14.2kg-m/5000rpm
変速機 前進5段・後退1段 前進フルシンクロメッシュ
変速比 1速3.379/2速2.077/3速1.390/4速1.000/5速0.841/後退3.389
最終減速比 4.111
燃料タンク容量 57L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 独立懸架筒型複動オイルダンパー・コイルバネ/筒型複動オイルダンパー半楕円形板バネ
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 155HR15ラジアル
発売当時価格 158万円

【2】へ続く

1969年式 マツダ コスモスポーツ(全3記事)
初出:ノスタルジックヒーロー 2020年4月号 Vol.198

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
関連記事:マツダの100年

TEXT:Nostalgic Hero/編集部 PHOTO:Isao Yatsui/谷井功

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