ニシボリックサスペンションとリッターあたり113.4psのパワー|1991年式 いすゞ ジェミニ 4ドアセダン イルムシャーR【2】

ボンネット上にあるのは、イルムシャーRは特有のNACAダクト。ここから走行風を取り入れ、インタークーラーへダイレクトに風を当てるのだ

【1】から続く

ジェミニと言えば、いすゞのモータースポーツの歴史に欠かせない存在。なかでもいすゞ初のツインカムターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせたイルムシャーRは強烈だった。

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 エクステリアこそ通常のイルムシャーと差は少ないものの、エンジンは既存の1.6L DOHCの4XE1型にターボをドッキング。アルミ鍛造ピストンや高強度コンロッドを採用し、アルミ製大型インタークーラーを装着。113.4ps/Lという圧倒的なパワーを生み出すことに成功している。

 また、クラスを超えたパワー&トルクを確実に路面へ伝えるため、プラネタリーセンターデフと2つのビスカス式クラッチによって構成されるフルタイム4WDを採用。このシステムは、通常の前後トルク配分は43対57だが、ビスカス式クラッチによって走行状況に最適なトルク配分をしてくれるというもの。これにより、ターマックではFR車のようなオーバーステア気味の走りが楽しめ、低μ路では前後輪に伝えるトルクを変化させ、安定性重視のニュートラルステアを実現。つまり、スポーティーなドライブフィールと高い安定性を両立させているのだ。

 この操縦性は「ニシボリックサスペンション」の効果も大きい。形式は前後ストラットだが、フロントに独自構造を採用したことでクイック&リニアなハンドリングを実現。その一方で、キャスター角を従来の2倍以上(4度30分)とし、優れた直進性を確保している。そしてリアには、自然な後輪ステアコントロール機能を発揮するナチュラル4WSを採用。合わせてイルムシャー社によるチューニングを施し、ダイナミックな走りを可能としている。
【画像16枚】イルムシャーおよびハンドリング・バイ・ロータスのホイールは14インチが標準だが、イルムシャーRは専用デザインの15インチアルミホイールを装着



>>フロントコアサポート後方に配置されるタービンはIHI製。



>>プレミアムガソリン仕様で180psを発生させる4XE1型ユニット。インタークーラーをエンジンに直付けすることで、レスポンスアップを狙っている。なお、油温対策として空冷式オイルクーラーをバンパー左側開口部に配置する。

いすゞ ジェミニ 4ドアセダン イルムシャーR(JT191S)
全長×全幅×全高(mm) 4195×1680×1390
ホイールベース(mm) 2450
トレッド前/後(mm) 1430/1405
車両重量(kg) 1150
エンジン型式 4XE1型
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1588
ボア×ストローク(mm) 80.0×79.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 180/6600
最大トルク(kg-m/rpm) 21.2/4800
変速比 1速/3.909速2.150/3速1.448/4速1.027/5速0.829/後退3.583
最終減速比(前/後) 4.117/3.909
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 195/50R15(前後とも)
発売当時価格 193.7万円

【3】へ続く

1991年式 いすゞ ジェミニ 4ドアセダン イルムシャーR(全3記事)
初出:ハチマルヒーロー 2017年5月号 Vol.41

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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TEXT:Rino Creative/リノクリエイティブ PHOTO:AKIO HIRANO/平野陽

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