メーカー同士のし烈な直接対決が行われた1600cc以下の3クラス|量産車の性能で戦う「ハコ」グループAの時代【3-1】

無限シビックとミノルタレビンの戦い

       
【国内モータースポーツの隆盛 第12回 量産車の性能で戦う「ハコ」グループAの時代[3]vol.1】

 グループA規定による全日本ツーリングカー選手権(JTC)は、1985年から93年まで9シーズンにわたって行われ、1600㏄以下の3クラス(87年まで1クラス)、1601〜2500㏄までの2クラス、2501㏄以上の1クラス(87年まで3クラス)に分けて戦われた。

 ハチマルヒーロー誌では、大排気量車(1クラス)による総合順位争いは、89年のスカイラインGT-S-R対フォード・シエラの時代まで紹介してきたが、実はこのクラスと2クラスは、主戦メーカーがひとつ、あるいはなし(プライベーターのみ)といった状態で、メーカーの直接対決による激烈な戦いが繰り広げられたわけではなかった。

 しかし、1600㏄以下の3クラスだけは事情が違っていた。市販車市場で大きな需要がある1.6Lクラスは、車種も豊富、レースベースに向く高性能車も多く、このカテゴリーの1.6Lスポーツ車に自信を持つトヨタとホンダが、真正面から当たることになったのは、ある意味必然の成り行きといえるものだった。

 先手をとったのはトヨタ。83年5月に発売となったAE86レビンは、基本性能が高かったこと、まだ日本にグループA規定のレースがなかったことなどにより、ヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)や英国ツーリングカー選手権(BTCC)で先に使われた。(欧州名カローラGT)

 現地ディーラー編成による参戦だったが、グループA車両としての開発が進み、車両作りのノウハウを積み重ねた状態で、グループA規定によるJTCシリーズの発足を迎えていた。

【画像16枚】1600cc以下の3クラスにおいては、メーカー同士の直接対決が演じられ、し烈な争いとなった


>>JTC2シーズン目の86年。接近戦を演じているのは無限シビックとアドバンカローラFX。この2車はその後のJTCに大きな影響を与える存在となっていく。


>>トヨタ系エントラントの中心的存在とも言えるトムスはカローラFXを擁して本格参戦。並行して3クラスのスープラも抱えなかなか多忙な状況だった。


>>JTC戦の開幕と同時に安定した速さを見せたAE86。前は津々見友彦/見崎清志/伊東薫組のトランピオレビン、後ろは岡田秀樹/T.シャープ組のミノルタレビン。



【2】へ続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年11月号 Vol.38
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

国内モータースポーツの隆盛 第12回 量産車の性能で戦う「ハコ」グループAの時代 3(全4記事)

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text/photo:Akihiko Ouchi / 大内明彦

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