パワーウェイトレシオ2.2。1060kgの軽量ボディに搭載されるV型8気筒エンジンの排気量は?|2000年式 TVR キミーラ 400【1】ハチマルユーロ

1960年代に隆盛を極めたブリティッシュスポーツを近代的に解釈したボディスタイルは、とても魅力的。先行デビューしたグリフィスほどアグレッシヴではないが、この穏やかなスタイルは独特の古典美を見せる

       
1990年代初頭に復活し、その後15年ほどの短い間にまばゆいほどの輝きを放ったTVR。鬼才ゴードン・マーレイの手で、まさに2度目の復活を遂げようとしている今、1990年代TVR最高のヒット作であるキミーラに触れてみることにしよう。

【ハチマルユーロー 2000年式 TVR キミーラ 400 vol.1】

1947年、英国ブラックプールに創業したTVRは、元々エンスージアストのトレヴァー・ウィルキンソンが、自身のレース用マシンを製作したことに端を発する小規模コンストラクター。60年代には「ヴィクセン」「グランチュラ」などのライトウエイトスポーツカーで成功を収めた。

また、北米フォードの4.7L V型8気筒エンジンを小さなボディに詰め込んだモンスター「グリフィス」なども販売して気炎を上げるものの、排ガス対策や安全対策で「スポーツカー冬の時代」と呼ばれた70年代後半には、経営不振に陥ってしまう。

 しかし、その後経営権を取得したピーター・ウィラーの精力的な経営によってTVR社は奇跡の復活。90年代には新グリフィスで成功を収める。そしてグリフィスに次いで94年にデビュー。TVR史上最高のヒット作となったのが、今回紹介する1台「TVRキミーラ」であった。

 大排気量のスパルタン極まりないピュアスポーツのグリフィスに対して、ややマイルド化されたグランドツーリングカー的性格に仕立てられたとされるキミーラだが、そのボディはグリフィスのテールをやや伸ばした程度のもの。TVRの伝統である、マルチチューブラースペースフレームにFRPボディの組み合わせによる公称1060kgという重量も、依然としてライトウェイトの部類に属する。

【画像18枚】グリフィスに対してグランドツーリングカー的な性格に仕立てあげられたものの、TVRの伝統を受け継ぐライトウエイトスポーツとなっている


>>アストンマーティンDB7やロータス・エスプリにも流用されたドアミラー下部に、小さなドア開閉スイッチが設置される。


>>ブート(トランク)は奥行きこそ短いが天地が深く、かなりのスペースを誇る。また、取り外したデタッチャブルトップも収納できるが、その際のラゲッジスペースは、かなり制限されてしまう。


>>タイヤはフロントが205/55ZR15、リアが225/50ZR16と前後異径。現代のスポーツカーに比べると小径だが、低いプロポーションと良く似合っている。



2000年式 TRV キミーラ 400

●年式 2000年式
●全長×全幅×全高(mm) 4080×1720×1220
●ホイールベース(mm) 2282
●トレッド(mm) 1460/1460(前/後)
●車両重量(kg) 1060
●エンジン種類 水冷V型8気筒OHV
●総排気量(㏄) 3950
●内径×行程(mm) 94.0×71.0
●最高出力(ps/rpm) 235/5500
●最大トルク(kg-m/rpm) 36.1/4500
●サスペンション 前ダブルウィッシュボーン
後ダブルウィッシュボーン
●ブレーキ 前後ともベンチレーテッドディスク
●タイヤサイズ 前205/55ZR15/後225/50ZR16


【2】へ続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年11月号 Vol.38
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

2000年式 TVR キミーラ 400(全3記事)

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text: Hiromi Takeda/武田 公実 photo: Masami Sato/佐藤 正巳

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