GT-Rに復刻タイヤをチョイス「本当に入るのか、バランスが合うのか、けっこう不安はありましたね」|松田次生のエンジョイハコスカGT-Rライフ vol.1【中編】

灼熱の太陽が照り付けた7月某日。自走で撮影場所へと駆けつけた松田次生さん。現代のクルマにはない対話しながら運転する喜びを、ハコスカGT-Rに感じている。路面温度も高かったようで、トレッドはかなり柔らかくなっていたようだ。

       
【1】から続く

2023年鈴鹿サーキットで行なわれたSUPER GT 第3戦で大事故に見舞われた23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生選手。両脚大腿の付け根部分に筋断裂がみられ、その後車椅子生活からリハビリを経て、2ヶ月後の第4戦富士にて見事レース復帰を果たした。そんな松田次生選手のプライベートを収録したノスタルジックヒーローの不定期連載をピックアップしていく。



国内レースの最高峰のスーパーGTでは、NISMOのエースナンバー23号車を駆るワークスドライバー。プライベートでは、R32からR35までのGT-Rを所有するマニア(収録当時)。「最強のGT-R使いにして、最高のGT-Rオタク」と呼ばれるのが、レーシングドライバーの松田次生選手だ。そして2017年、ついに念願のハコスカGT-Rを手に入れた。そんなデイープな彼の旧車ライフを 紹介していくこの不定期連載企画。記念すべき2018年10月号掲載の第1回目は、相棒の足元に履くミシュランタイヤTB15に注目。

【松田次生のエンジョイ!ハコスカGT-Rライフ vol.1 】

実は、ハコスカGT-Rのタイヤは、当初フロントに205/50、リアに225/50の国産タイヤを履いていた。しかも、ちょうどいいサイズがなかったため、前後で銘柄も違っていた。リアはタイヤをやや引っ張り気味にしてキレイに収まったものの、フロントはイマイチしっくりきていなかった。そのアンバランスさが前々から気になっていたのだとか。

そこで浮上したのが、ミシュランのクラシックタイヤだ。大々的に宣伝をしていないこともあり、あまり広くは知られていないが、実はミシュランでは20年代後半から80年代までに製造されたクルマ向けに、それぞれの時代に合ったタイヤを復刻している。

「以前から、ハコスカGT-Rには、今どきの偏平が薄いタイヤより、昔ながらの厚みがあるタイヤのほうが似合うんじゃないかな? と思っていたんです。ただ、このタイヤをハコスカに履かせた事例がなかったので、本当に入るのか、バランスが合うのか、けっこう不安はありましたね」。

【画像16枚】前例がなく不安もあったが、ミシュランが復刻した昔ながらの厚みのあるタイヤを装着!


>>TB15は昔ながらのシンプルなパターン。ただし、素材やコンパウンド、構造については、現代の技術で仕上げられている。グリップだけを追求するのではなく、時代に合わせた性能を与えているのも特徴。


>>ムッチリとして厚みがある極太のリアタイヤは、今見ると逆に新鮮ですらある。15インチとは思えない存在感が、GT-Rにマッチしている。


Tsugio’s IMPRESSION/「厚みのあるクラシックタイヤが路面からの入力をいなしてくれる」

「前は、ギャップで跳ねることが多かったんですが、TB15では改善しました。ゴムが硬いとロードノイズや突き上げ感が出がちですが、それもありません。路面への追従性も高く、舵角を入れてからの横方向のグリップも十分にあります。ハコスカは車重が軽いのでよく粘りますね。気になる点を挙げるとすれば、ゴムが柔らかいので小石を跳ね上げる音がすることくらい。昔のレース用タイヤに近いフィーリングだと思います」




【3】へ続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

松田次生のエンジョイ!ハコスカGT-Rライフ vol.1(全3記事)

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photo:Motosuke Fujii(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ) text:Daisuke Ishikawa/石川大輔 Cooperation:Micherin Japan/日本ミシュランタイヤ LOCATION:Shinjuku Park Tower/新宿パークタワー

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