2Lで95ps。7万5千台近くが生産された大ヒット英国スポーツカー|1957年式 トライアンフ TR3【2】

試作車TR1ではスペアタイアを背負ったラウンドテールとされていたが、生産型TR2以降は、やや角ばった形状のテールとされた。

       
【1】から続く

1953年に正式発売されたTR2は一定の人気を得るのだが、クーリング不足が指摘されたラジエーターグリル(日本では「おちょぼ口」と愛称される)をはじめ、パワーアップなども求める市場のリクエストにこたえるかたちで、2年後の55年、マイナーチェンジを施した後継車「TR3」がデビューすることになる。

【輸入車版懐古的勇士 1957年式 トライアンフ TR3 vol.2】

ここに至るいずれのTRも、搭載されるエンジンは、当時トライアンフの親会社だったスタンダードの中型サルーン「バンガード」用から発展した水冷直列4気筒OHV 1991cc。TR3では前任モデルTR2から4psアップの95㎰とされた。そして、この時代のライトウエイトスポーツカーとしては若干重め、900㎏を大きく超えるウェイトを持ちながらも0〜400m加速で18秒前後と、当時の2L級スポーツとしては、なかなかの快速ぶりを示した。

一方、剛性の低いラダー式フレームに固く締め上げられた前:独立/後:固定式サスペンションの組み合わせは、古き良き英国製スポーツカーの典型的なもので、その乗り味はあくまでワイルド。それはラジエーターグリルをさらに拡幅し、2138ccエンジンも選択可能となった改良版「TR3A」となっても変わることはなかったのだが、それでもTR3/3Aを合わせて7万5千台近くが生産される大ヒット作となったのである。

【画像17枚】トルクフルで非常に扱いやすい、スタンダード・バンガード用をチューンナップした1991㏄95 psの水冷4気筒OHVエンジンや、前オーナーの意向で、現代のフォード社製でケータハムなどにも使用される5速MTに換装されている変速機など



>>「サイドスクリーンTR」の愛称の由来となった、上部をカットアウトしたドアと、差し込み式のサイドスクリーン。


>>戦前以来のロードスターの必須装備。キャンバス製のトノカバーは駐車時にキャビン全体を覆うことができるほか、前席背後をカバー、あるいは運転席部のみ開いて走行することも可能となる。


>>テールを延長したおかげで、ラゲッジスペースはこの時代のピュアスポーツとしてはなかなかの容量。



1957年式 トライアンフ TR3


全長×全幅×全高3835×1410×1270mm
ホイールベース 2235mm
トレッド前/後 1143/1156mm
車両重量 975kg
ボア&ストローク 83.0×92.0mm
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量1991cc
最高出力 95/4800ps/rpm
最大トルク 16.3/3000㎏-m/rpm
最高速 164km/h
トランスミッション 4速MT
サスペンション 前 ダブルウイッシュボーンコイル
後 半楕円リーフ
タイヤ 5.50x15


【3】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年2月号 vol.192
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1957年式 トライアンフ TR3(全3記事

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text: Hiromi Takeda/武田公実 photo: Jun-ichi Okumura/奥村純一

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