初期型空冷の中でも10カ月しか販売されなかった最上級グレード|1971年式 ホンダZ GS【2】

リアビューはホンダZ最大の特徴。「水中メガネ」と呼ばれる特徴的なリアウインドー部分はこのクルマのアイコンである。維持に厄介なのもここで、ガラスと独特の外枠の間に入るモールのゴムが劣化して雨漏りしてしまうのだ。純正品が見つからない上、構造的にも漏れやすいので、似た形状のモールを流用しているという。

       
【1】から続く

スポーツモデルのZに魅了されて購入した最上位グレードのホンダZ
【1971年式 ホンダZ GS vol.2】

オーナーのホンダZ GSは、空冷エンジンの初期型モデルの中でも、およそ10カ月しか販売されなかった最上級グレードで、なおかつシリーズを通して唯一の前輪ディスクブレーキ標準装備という希少なモデルであることがわかる。

オーナーがこの個体を入手したのは取材の22年前のこと。N360シリーズの軽自動車の魅力にハマり、さらにそこから派生したスポーツモデルのZに魅了され、どうせなら最上位グレードを、と探していたところ、ノスタルジックヒーローのスワップミートコーナーに掲載されていたワンオーナーの個体を発見・購入したものだ。購入時はフルオリジナル状態であったものの、ボディ各所にサビや腐食が見られた状態だったという。

走ること自体は問題なかったものの、06年にはボディのフルレストアを実行。さらに11年にはエンジンのオーバーホールを行い、現在の状態に仕上げられた。点火系をセミトランジスタ化した以外は、基本的にオリジナル状態を維持している。

【画層23枚】ノスタルジックヒーロースワップミートコーナーで出合った1台は今もオリジナルの状態を維持


>>フェンダーミラーは、通常のグレードが角型のクロームメッキタイプであるのに対し、スポーティいグレードではつや消しブラックの砲弾型となっている。

>>軽自動車としては初のPCV付き前輪ディスクブレーキを採用。普通車も含めてもディスクブレーキの採用は珍しい時代だった。ホイールにはキャップレスホイールを採用。

>>リアハッチはウインドー部分のみが開くというユニークな構造。スペアタイヤや工具をトランクルーム下に収めるのは普通だが、車体後部から直接アクセスできる専用のリッドがあるのも非常に珍しい。

1971年式 ホンダZ GS(N360)

全長2995mm
全幅1295mm
全高1275mm
ホイールベース2000mm
車両重量525kg
エンジン型式/種類N360E型/強制空冷直列2気筒SOHC
総排気量354cc
最高出力(ps/rpm)36/9000
最大トルク(kg-m/rpm)3.2/7000
サスペンション前/後マクファーソン式独立懸架/半楕円リーフ
ブレーキ前/後ディスク/リーディング・トレーリング
発売当時価格46万3000円


【3】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年2月号 vol.191
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1971年式 ホンダZ GS(全3記事)

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photo:Masataka Miyano/宮野政崇

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