極めて希少だった432-R。値段も聞かずに「買います」と即答|1972年式 日産 フェアレディZ432-R【2】

ボディのサイドに30年前はなかった黒いストライプを追加。これは発売当時のカタログやモーターショーの展示車に見られたもので、カタログの写真を拡大して太さを算出し、まったく同じサイズで追加

       
DOHC24バルブのS20型エンジンを搭載したフェアレディZ432は、それ自体が特別なモデルだが、
そんなZ432に、さらにスペシャルなレース仕様が存在する。それがフェアレディZ432-Rだ。
本誌創刊3号に登場した、当時ですら極めて希少だった432-Rの現在を見てみよう。

【1972年式 日産 フェアレディZ432-R Vol.2】

【1】から続く

 オーナーがこの希少なZ432‐Rを手に入れたのは38年前のこと。アルピーヌのA110を探して都内の幹線道路を走っていたところ、欧州車専門ショップの店頭にあるフェアレディZを発見。
 「変わったカラーリングのS30Zだなと思ったのですが、よく見るとウインドーがアクリル製になっていたので、これは432‐Rではないかと思いました」。店の人に声をかけると、「預かり物だけど、欲しいなら売るよ」と言われたため、「買います」と値段も聞かずに即答したという。
 運命的な出合いをしたオーナーとZ432‐Rだが、極めてレアなモデルだけに、購入した当時でさえ「ヨンサンニ・「アール」ってなんだ?」 と言う人も少なくなかったという。イベントなどでも、装備が足りないZ432だと勘違いされることもあったのだ。その状況を変えたのが、本誌創刊第3号への掲載だった。オーナー自身が読者プレゼントを兼ねた取材希望のハガキを送ったという。
「それまで旧車を扱った定期雑誌もなかったし、旧車好きであれば必ずといっていいほどノスヒロを読んでいた。その誌面に432‐Rが登場したことで一気に認知度が上がったんです」


>> 【画像33枚】フロントグリルの中央やや右に見える、432-Rに標準装備の純正オイルクーラーなど



>> まさにレース用といった雰囲気のコックピット。グローブボックスのフタさえも省かれる徹底ぶりだ。




>> レース仕様にふさわしく、快適装備がことごとく削られているセンターコンソール。3連メーターの下にあるはずの送風口も埋められている。





>> センターメーターは、Z432では左端に装着される時計が省かれている。右が水温計/油圧計で、中央が電流計/燃料計。

1972年式 日産 フェアレディZ432-R(PS30-SB)

SPECIFICATION 諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1290mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355 / 1345mm
最低地上高 165mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1070mm
車両重量 960kg
乗車定員 2名
最高速度 210km / h以上
登坂能力 tanθ 0.462
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
トランスミッション型式 前進5段後退 1段
サスペンション前後とも ストラット・コイル
ブレーキ前/後 ディスク / ドラム
タイヤ前後とも 6.95-14-4PR
発売当時価格 150万円

【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年8月号 Vol.188
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 フェアレディZ432-R(全3記事)

関連記事:創刊のころに取材した、クルマとオーナーを訪ねる旅

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【1】から続く

text:NOSTALGIC HERO/編集部 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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