自分だけのS30Z、ゴールはまだまだ見えず【4】1972年式 ダットサン 240Z

駆動系も強化された240Z

       
平成の時代に活躍した直列6気筒ユニットといえば、日産はRB型、トヨタは2JZ型が代表格。RB型スワップに際し、2JZ型に負けない排気量が欲しいと考えたオーナーが目をつけたのが、輸出仕様に存在したSOHCのRB30型だ。これにRB26型のヘッドを組み合わせた3L直列6気筒DOHC24バルブのエンジンを搭載するレフティーZが出現! そのパワーと完成度がすさまじい!

【禁断のエンジンスワップ 1972年式 ダットサン 240Z Vol.4】

【3】から続く

駆動系ももちろん強化されていて、オグラ製クラッチにS15用のニスモ6速ミッション、R200LSD、ドライブシャフトはR30等速ジョイントを組み込み、RB30型のパワーに対応。

 シャシーのチューニングもポイントで、S30Zのフロント両サイドのフレームは、前〜中期型はフロアの途中までしかないのに対し、後期型ではフロア後端まで伸びているという決定的な違いがある。そこでオーナーは、1.2mm厚の亜鉛メッキ鋼板をコの字に曲げ、純正のフレームにかぶせながらフロア後端まで延長させることで、シャシー剛性アップを狙っている。また、車内に組み込まれて左ハンドル対応のクスコ製特注6点式ロールケージは、そのまま組むのではなく、中央からAピラーの前側部分を大胆にカット。その部材を使ってエンジンルーム内のフロントストラット部分とラゲッジのリアストラットに補強を追加するなど、独自のアイデアでZの弱点をカバー。

足まわりは、エンドレス製ファンクション倒立式車高調をメインに、R33GT‐R用のブレンボキャリパー、アペックス製スリットローター、アメリカ製のリアサイドブレーキキャリパーに、Z31用のハブとエスコート製コンパニオンフランジを使うことで5H仕様にアップデート。ホイールはレイズ製グライムライツ57CRの17インチで、前後とも9Jを装着。チューンドRB30型が放つパワーと剛性感のあるボディを受け止める仕様だ。

「サイドブレーキは、マセラティなどが使っているタイプのアメリカ製です。そもそもバックプレートを付けたくなかったので、そうなるとインディスクも使えない。なので、後付けキャリパーを追加したわけです。Zを通じて知り合いが増えましたし、一度チューニングし始めると止められなくなっちゃうんですよね。もう楽しさしかないです」

自分だけのZを手にしたオーナーだが、どうやら思い描く理想のゴールは、まだまだ先にあるようだ。

>> 【画像40枚】装着されたワンオフの手曲げの等長タコ足など。φ50mmの6-2タイプで、曲線が美しい仕上がり。手前のタワーバーはクスコ製だ




>> エスコート製の大容量アルフィンカバーと強化リアメンバーを装着。デフはニスモのR200LSDを組み込んでいて、最終減速比は3.9。




>> フロントの足まわりは、Z31用のハブを使い5H化され、R33GT-R用のブレンボキャリパーとアペックス製スリットローターを組み合わせる。サスはエンドレスがオーダーメイドで対応するファンクションの倒立式を組み込んでいる。





>> GT-Rキャリパーやファンクションのサスを使うのはリアも同じ。5H化はエスコート製のコンパニオンフランジが可能にしている。バックプレートをつけたくないというオーナーのリクエストで、マセラティ用のサイドブレーキキャリパーを追加して対処している。


OWNER

保管、整備、お手入れのために、自宅にリフト付きのガレージまで作ってしまうほど、Zにのめり込んでいるオーナー。5月5日のオールフェアレディZミーティングでの本誌アワード受賞、そして取材を受けたことでそのボルテージはますます上昇し、もう1基エンジンを作ることを決意。そちらも独自のものになる予定なので、こうご期待!



1972年式 ダットサン 240Z(HLS30)

SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:調色済みオレンジオールペイント(7色パール入り)、北米日産オプションインスペクションリッド、US製フロントスポイラー、フロントバンパークリアレンズ、フロントサイドマーカークリアレンズ
■シャシー:ボンデ板(1.2mm厚)フレーム延長加工、クスコ製左ハンドル用特注6点式ロールケージ加工(サイドバー付き、エンジンルーム&リア製作)、自作リアタワーバー
■エンジン:RB30型ブロック+RB26型ヘッド(ボアφ87mm×ストローク85mm、3030cc、圧縮比11.0:1)、東名パワード製280度カム(リフト10.8mm)/バルブスプリング、燃焼室加工、JEピストン製φ87mmピストン、HPI製オイルポンプ、S30用RB型アルミオイルパン、エンジンマウントリブ加工
■吸排気系:RB26型インテークマニホールド、テスタロッサ製ワンオフインマニアルミブラケット、ジェンビー製φ52mmスロットルボディ、S14シルビア用スロットルセンサー、ワンオフφ50mm等長手曲げタコ足(6-2)、φ60mmデュアルセンターパイプ+φ80mmパイプマフラー
■冷却系:ワンオフアルミ3層ラジエーター、汎用オイルクーラー
■燃料系:370ccインジェクター×6、ジェンビー製フューエルデリバリーパイプ、サード製燃圧レギュレーター
■制御系:リンク製G4エクストリーム
■駆動系:S15シルビア用ニスモ6速ミッション、RB型エンジン用ミッションハウジング加工、ワンオフミッションマウント(リブ加工入り)、オグラ製シングルクラッチ/フライホイール、ワンオフプロペラシャフト加工、ニスモ製R200LSD(ファイナル3.9)、エスコート製デフブラケット/デフケース、DR30用等速ドライブシャフト
■ステアリング系:軽自動車用電動パワーステアリング
■サスペンション:(F)エンドレス製ファンクション車高調、Z31用5Hハブ、クスコ製スタビライザー (R)エンドレス製ファンクション車高調、エスコート製5Hコンパニオンフランジ、S31用リアスタビライザー(ブラケットワンオフ製作)
■ブレーキ:S14シルビア用マスターバック/マスターシリンダー、R33GT-R用ブレンボキャリパー、アペックス製スリット入りローター、リアサイドブレーキ用キャリパー(アメリカ製)
■インテリア:モモ製バックスキンステアリング、ワークスベル製ラフィックスⅡ、スターロード製ショートボス、km/h表示スピードメーター(機械式→電気式加工)、スミス製タコメーター、リンク製エクストリーム連動タブレット、レカロ製プロレーサーSMS2700×2、タカタ製4点式レーシングハーネス
■タイヤ:ヨコハマ アドバン ネオバ AD08R
(F)225/45R17 (R)255/40R17
■ホイール:レイズ グラムライツ57CR 17×9J

【1】【2】【3】から続く


初出:ノスタルジックスピード vol.021 2019年8月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 ダットサン 240Z(全4記事)

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text : AKIO SATO(rsf)/佐藤アキオ(rsf) photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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