水没した場合にやってはいけないこと。トヨタ2000GT【1-2】ニッポン名車物語 復活編 第一話

リアのバンパーなどクロームメッキのパーツが白く曇ってしまっている。フロントのライトリムはすでに取り外した後だ。できるだけ元の部品を再生させつつ、必要な個所は新品パーツに交換するなどして復元していくことになる。塗装もすべてやり直す予定という。

       
2015年9月、北関東での記録的豪雨により鬼怒川の堤防が決壊、広範囲に水害をもたらしたのは記憶に新しい。この災害にあろうことか2台の貴重なトヨタ2000GTが巻き込まれていた。屋根上まで浸水してしまった2000GT、その復活にビンテージカーヨシノが立ち上がった。

【 ニッポン名車物語 復活編 第一話 Vol.2】

【1-1】から続く

 もし水没という状況に陥った場合、絶対やってはいけないのがエンジンをかけようとすること。もしシリンダー内に水が満たされた場合、水は空気と違い圧縮されない。無理やりクランクを回せば、コンロッドが折れて最悪エンジンブロックを突き破ってしまう。

 配線のコネクター部分は水が入ると抜けにくく、そのまま腐食が進んでしまう。端子部分は要交換だ。

 水に漬かったボディとフレームは、どこが傷むか分からない。ビンテージカーヨシノの場合、通常1台のトヨタ2000GTのレストアに要する期間は2年から3年程度。しかし今回は水没車ということで、どれだけかかるか分からない。この困難なレストアを本誌では順を追ってお伝えしていきたい。


>> 【画像18枚】乾燥したグリスがボロボロになっているフロントショックアブソーバーの頭頂部分など。サスペンションがこの状態では、そのまま走らせるわけにはいかない




>> オーバーホールのため車体から降ろされたエンジン。一見してわかるのはボルト類のサビ。中の状態はまだ分からない。今後の作業で明らかにされるだろう。





>> トヨタ2000GTオリジナルのミクニ製ソレックスPHH2型が3連装される。これも当然オーバーホールが必要になる。


【1-3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 vol.175
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ニッポン名車物語 復活編 第一話(全3記事)

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【1】から続く

photo : NOSTALGIC HERO/編集部

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