ハコスカGT-R。L型エンジン用をベースに装着されたクーラーユニット【2】1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R

ヘッドカバーが赤く塗装されたS20型エンジンが鎮座する。主機は過去にGT-R専門店でオーバーホールされているようで、φ83.5mmの鍛造ピストンが組み込まれ、キャブレターはφ44mmのソレックスが3個装着されている。クーラーユニットは、汎用品をベースに、軽自動車用のコンプレッサーを組み合わせるなど、S20型とマッチするようにいろいろと工夫されている。

       

「旧車イコール夏場の灼熱地獄」と相場は決まっているが、汗をダラダラ流しながら運転しているのは
けっしてスマートな姿じゃない。それならば現代の快適装備をうまく利用して旧車をセットアップすれば
だれもがあこがれる「通勤快速仕様」のGT-Rが作れるはず。それを実現した1台を紹介しよう。

【 1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.2】

【1】から続く

 この通勤快速GT‐Rをプロデュースしたのは、ヴィンテージ宮田自動車、吉田杜斗店長だ。まず一番のポイントとなるのがクーラーの装着。人気のある国産旧車の多くはカークーラーが普及する前の時代に生産されたクルマで、実際に装着されたクーラーユニットが使える状態の個体は、20台に1台くらいの印象だろう。さらにS20型エンジン搭載でクーラー付きのクルマとなると、相当少ないはず。クルマの性格上、当時オプションとしても当然設定がなかった。

 この4ドアGT‐Rに装着されているのは、L型エンジン用の汎用クーラーユニットをベースに、いくつか改良を加えている。S20型エンジンへの装着にあたっては、コンプレッサーのブラケットとプーリーをワンオフで製作。そしてコンプレッサーは軽自動車用の中から高性能で負荷が少ないものを選択している。同時に冷却系はラジエーターを3層にコア増し、電装系はハーネス類を新品に交換、点火系をCDI化するなど、エンジンへの負担を最小限にする工夫がしてある。さらに冷房効果を高めるため、ガラスにはUVカットフィルムが貼ってあり、快適さの追求に抜かりはない。


>>【画像18枚】1969年式のNバッジとGT-Rエンブレムの組み合わせが付くフロントグリルなど。リアには4ドア専用のGT-Rエンブレムが付く




>> エンジンルーム左側に付く型式プレート。





>> GTシルバーメタリックのイメージでオールペイント。絶妙な車高出しによって、4ドアGT-Rにふさわしいフォルムを生み出している。



1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(PGC10)

Specification 諸元
全長 4395mm
全幅 1610mm
全高 1385mm
ホイールベース 2640mm
トレッド前/後 1370 / 1365mm
最低地上高 160mm
室内長 1775mm
室内幅 1300mm
室内高 1120mm
車両重量 1120kg
乗車定員 5名
登坂能力sinθ 0.490
最小回転半径 5.3m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
変速比 1速 2.957 / 2速 1.853 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 (OD)0.852 / 後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式 リサーキュレーティング・ボール(ギア比18.5)
サスペンション前/後 ストラット・コイル / セミトレーリングアーム・コイル
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.45H14-4PR
発売当時価格 150万円


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(全3記事)

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【1】から続く

PHOTO : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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