無事に組み上がったミッション。その裏ワザとは?【3】日産 240RSの直結5速ミッション修復任務

カウンターの2速ギアを削り落とし、そこにスプラインのオスを刻み込む加工を行う。新たに製作した2速ギアの内側には、スプラインのメスを刻み、ドッキングする方法で修復することにした!

       
グループBで争われていたWRCに参戦するため、日産がホモロゲーションモデルとして開発し、限定200台を製造したのが「240RS」。その直結5速ミッションのトラブルを解決!

【珍車秘宝館 日産 240RS Vol.3】

【2】から続く

「カウンター側の2速ギアを削って小さくし、さらにスプラインを削ります。そして、そのスプラインに合うギアを新たに製作してハメ込み式にしたんです。これなら、パワーがかかってもギアが空回りすることもないですし、この方法が使えるトラブルだったら修復が可能です」とうれしそうに語る館長。

 カウンターシャフトとギアは一体式のタイプが多いが、輸入車にはカウンター側のギアもハメ込み式となっている車種もあったそうだ。しかも、スプラインなどはなく、丸のままハメ込んであったようだが、恐ろしいくらいの加工精度によって、プレス機を使わないと外れないくらいだったそうだ。

「メーン側の2速ギアは新たに製作したのですが、シンクロリングは何か流用できないか探したところ、L型の71A用が同じくらいのサイズだったので使いました。無事に組み上がったミッションで、その240RSは、現在も快調に走っているそうですよ」と館長。

 壊れたギアにもよるが、この方法で救出できるミッションがあると思われるので、ぜひ参考にしてほしい。

>> 【画像19枚】オーバーホールが完了した240RS用のF5C71B。ケースはブラスト処理が施され、各ボルト類もメッキ処理しているため、まるで新品ミッションのような仕上がり。フロントカバーを装着したベルハウジング内も新品状態に。




>> スプライン加工を施したシャフトにギアを組み込んでみると、これがまさにドンピシャ!





>> 左側が、新たに製作したメーンシャフト側の2速ギア。元々のギア比と同じギア比で製作している。





>> センタープレートの右下に見えるのが、スプライン加工でドッキングさせたカウンター側の2速。いちおう、用心のために点付け溶接もしてあるから、外れる心配はなし。





>> センタープレート左上がメーン側の2速ギアセット。シンクロリングもキレイに収まっている。


初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

日産 240RS(全3記事)

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【1】【2】から続く

photo & text : 珍車秘宝館 館長

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