チェリーにひと目ぼれ【1】軽量ボディにА12型改1.3Lを搭載。公認車検も取得済み |1971年式 日産 チェリー クーペ X-1・R

軽量ボディにА12型改1.3Lを搭載!刺激的な走りが魅力のFFホットハッチ

       

チェリーにひと目ぼれ

舵と駆動を前輪で担うFF。車内空間が広く取れるうえに軽さという面でも有利と、無駄がなく理にかなった駆動方式といえる。これを日産ではじめて取り入れたのがチェリーだ。その最上位グレードとなるX-1・Rが搭載したのは名機A12型。同時期に脚光を浴びたB110サニーGX-5とおなじ心臓部を持ち、マイナーツーリングでもあなどれない速さを見せた。そんな当時の雄姿を彷彿させる、X-1・Rワークス仕様がストリートに降臨した!

【1971年式 日産 チェリー クーペ X-1・R Vol.1】

 1972年に開催された富士グランチャンピオンシリーズの前哨戦、マイナーツーリングでは強豪ライバル勢を退けてみごと優勝を果たすなど、存在感を見せつけたチェリークーペ。当時はまだ若手だった星野一義が注目を集めたのは、ベテランレーサーでさえ手を焼くこのやんちゃなFFホットハッチで結果を残したからだといわれる。

 そんな当時のワークススタイルを再現したのが広島県の「竹口自動車」だ。生産台数は3000台程度、現存するのは50台にも満たないといわれるX‐1・Rをベースに仕上げた。オーナーは愛知県在住の旧車好きのオーナーだ。


>>【画像20枚】さりげなくインストールされた10000rpmスケールのタコメーターなど。高回転までキレイに回るが、4速2000rpm付近で普通に街乗りできるのもオーナーのお気に入り


「ノスタルジック2デイズの会場で竹口自動車さんが展示していたチェリーに出合ってひと目ぼれしました。ボディは小ぶりなのに妙に迫力があるスタイルにやられましたね」と振り返る。
 予算は限られていたが、どうしてもワークス仕様に乗りたいというオーナーの情熱に根負けし、竹口自動車の竹口英三代表が車両製作を請け負った。

 カラーリングやステッカーは当時のレース仕様を忠実に再現。後期型のX‐1・Rにワークスフェンダーを張り、フロントスポイラーはケンメリ用を加工流用。ボディの凹みは板金塗装し、ドア下に浮いていたサビも修復するなど、妥協なく仕上げられた。公認車検を取得したのも、このスタイルで堂々と街中を走りたいというオーナーのこだわりから。




>> 当時のワークスマシンは4色あったというが、ブルーやレッドのレプリカ仕様がすでに製作されているため、オーナーはイエローを選んだ。カッティングシートではなく塗装で仕上げているのもポイント。フロントのチンスポは、ケンメリ用の幅を狭く加工して装着している。



1971年式 日産 チェリー クーペ X-1・R(KPE10)
SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:ワンオフ・チンスポイラー(ケンメリ用加工)、ワークス風オーバーフェンダー、リアスポイラー、ワークスカラーペイント
■エンジン:A12型改1303cc(圧縮比11.5)、74度ハイカム、亀有製φ77mm鍛造ピストン、純正コンロッド フルフロー加工、純正クランクバランス取り、東名製ヘッドカバー、クスコ製オイルキャッチタンク
■点火系:永井電子機器製ウルトラMDI
■燃料系:電気式フューエルポンプ移植、燃料レギュレーター
■吸排気系:ニスモ製ソレックス44PHH(メイン150、エア200、P/J57.5)、ステンレス製タコ足、サイド出しマフラー
■足回り:(F)オリジナル車高調 (R)ショートストローク加工
■ブレーキ:ブレーキパッド強化
■インテリア:ナルディ製ステアリング、10000rpmスケールタコメーター、電圧計
■タイヤ:(F)ヨコハマ アドバンネオバ 175/60R13
(R)ブリヂストン プレイズ 175/60R13
■ホイール:RSワタナベ (F)13×7J (R)13×7.5J




【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 チェリー クーペ X-1・R(全2記事)

関連記事:進化するA型エンジン

関連記事: チェリー

text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING