250km/h級の最高速を持つスーパースポーツ|1979年式 フェラーリ 308GTB【1】フェラーリV8ベルリネッタの開祖となった、美しき名作

ディーノ206/246から継承されたエアスクープはプレス成型ののち、さらにハンダでかたちを整えていた。ちなみに右側のスクープがキャブレターに導入されるので、心地よい吸気音は助手席の方が良く聴こえる

       

フェラーリV8ベルリネッタの開祖となった、美しき名作

日本の子供たちの間で「スーパーカーブーム」が吹き荒れる直前、1975年にデビューしたフェラーリ308GTBは、フェラーリの傑作、ディーノ246GTの正統な後継車にして現代まで継承されるフェラーリV8ベルリネッタの起源となった。

【輸入車版懐古的勇士 1979年式 フェラーリ 308GTB Vol.1】

 発表当初から「フェラーリ」のブランド名は持つものの、実質的にはディーノ246GT系の後継モデルとして1975年パリ・サロンにデビューした308GTB/GTSは、現代に至るまでフェラーリの屋台骨を支えるV8ベルリネッタの起源である。

 フェラーリとしては60年代前半のレーシングスポーツやF1マシン以来の搭載となったV型8気筒ユニットは、1973年に先行デビューしていたディーノ308GT4と共用で、総排気量は2926cc。4基のウエーバーキャブレターが装着された初期のEC仕様では255psを発揮し、250km/h級の最高速を達成する、小型ながら侮れないスーパースポーツだった。

 また鋼管スペースフレーム、フロント/リアともダブルウイッシュボーンのサスペンションは、ともにディーノ時代とほぼ共通とされるなど、シャシーはコンベンショナルなクルマ造りが常套だった当時のフェラーリらしく、実績のあるものが採用された。一方、ディーノの豊満なラインを生かしながらも巧みにモダナイズを施した美しいボディは、ピニンファリーナ時代のレオナルド・フィオラヴァンティがデザインしたもの。ボディの架装は、フェラーリ社傘下のカロッツェリア・スカリエッティが担当した。


>> 【画像14枚】ステアリングはMOMOのレザー巻きを装着する。コノリー社製レザーなどの高級素材を使用しつつも、シンプルでスパルタンなインテリアなど



>> 豊満な曲面とシャープなエッジの対比が美しいフロントフェンダー





>> 複雑な形状を成すリアのエンジンフードは、ピラー直後から一体に開く。北米・日本仕様車に取り付けられるマフラーの遮熱カバーは、当時の輸入元では「おむつカバー」なる愛称で呼ばれた。





>> フェラーリV8ベルリネッタの開祖となった、美しき名作


1979年式 フェラーリ 308GTB(日本仕様)

SPECIFICATION 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4350×1730×1150
ホイールベース(mm) 2340
トレッド前/後(mm) 1460/1460
車両重量(kg) 1440
エンジン種類 V型8気筒DOHC
総排気量(cc) 2926cc
最高出力(ps/rpm) 205/6600
最大トルク(kg-m/rpm) 25.0/5000
ボア&ストローク(mm) 81×71
圧縮比 8.8:1
変速機 5速MT
サスペンション 前後ともウイッシュボーン+コイル
ブレーキ形式 前後ともベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 205/70VR14


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年8月号 Vol.182
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1979年式 フェラーリ 308GTB(全3記事)

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text:HIROMI TAKEDA/武田公実 photo:MOTOSUKE FUJII/藤井元輔

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