往年のレーシングカーを思わせるモディファイ「キレイすぎるのもなんですから、時代にあった感じでペイントとかしたいですね」｜1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード　Vol.3

ブルーバードをいじるとなると、真っ先に思い浮かぶのはP510系だ。
しかし、そんな王道には目もくれず、意表のベースを速くすることに燃える反骨のオーナーも数多くいるのだ。今回の標的は、P510の2代前となるP312。
OHVのC型エンジンを捨てSOHCのL型を積んだ「暴れん坊」の本質に迫る！

【1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード　Vol.3】

【2】から続く

　外観や内装は、当時のレーシングカーを思わせるフィニッシュに。これはこれまでに空冷VWタイプⅠやフォード・コルチナ・マークⅠで草レースを楽しんできたオーナーならではのキメ方だ。

　「エンジンはSUツインキャブを組んだL14型のまま。中身も吸排気系も触っていませんが、キビキビ走って面白いですよ」の言葉どおり加速もよく、54年前の（元）リッターカーとは思えぬほどの軽快感を見せていた。今後は速くするよりもキレイにすることを視野に入れているそうで、
「キレイすぎるのもなんですから、時代にあった感じでペイントとかしたいですね」とオーナー。レーシーな見かけどおりの小気味よい走りを披露するP312ブルーバード。もしサーキットなどで見かけた際には、十分にご注意を。思っている以上にグイグイ迫ってくること請け合いだ。

>>【画像27枚】時代を感じさせるデザインでありながら超軽量のアルミ製ということで、旧車好きの間で人気のあるブリヂストン・スーパーRAP（13×5.5J）を履く。そこに合わせたのはSタイヤのダンロップ・ディレッツァ02G（165/60R13）



直列4気筒OHV・998cc43psのC1型エンジンから直列4気筒SOHC・1428cc・95psのL14型への載せ換えを完了。ローギアードのデフと相まって、出足の俊敏さはとても55年前のファミリーカーとは思えない！





フェアレディ2000用レースショック、クラウン用コイルで固めたフロントサスペンション。ダブルウイッシュボーンのアッパーアーム付け根にシムをかませることでキャンバー角をつける独自のアイデアも披露。





黄色のショックも青いブロックも、どちらもフェアレディ用のレースパーツとのこと。実は310系ブルーバードと310系フェアレディは兄弟車の関係にあり、ブルーバード用では出ない部品もフェアレディ用で探せば意外と見つかるらしい。


OWNER’S VOICE



取材当時58歳のオーナー。これまでに80台以上（！）のクルマを乗ってきたとのこと。「ハコスカ、S30Z、510ブル、ブタケツなど、いろんなのに乗りましたけど、自分は速そうなのよりも、遅そうなクルマを速くするのが好きなので、この312ブルーバードは性に合ってると思います。セオリーどおりではなく、自分の頭で考えたベストな方法をこれからも取り入れていきます」。

1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード（P312）
SPECIFICATION 諸元
●エクステリア:ルーカス・ヘッドライト、レイオットタイプレーシングミラー、前後バンパーボディ同色
●エンジン:L14型エンジン載せ換え（SUツインキャブ仕様）
●点火系:NGK・プラグコード
●冷却系:軽自動車用小型ラジエーター、電動ファン
●燃料系:ミツバ・電磁ポンプ
●駆動系:4速フロアシフト、C10スカイライン用プロペラシャフト
●サスペンション:（F）SP/SRフェアレディ用レース用ショックアブソーバー/クラウン用コイルスプリング、アッパーアームキャンバー角加工、（R）SP/SRフェアレディ用レース用ショックアブソーバー/ローダウンブロック
●ブレーキ:P510ブルーバード用マスターバック移植
●インテリア:ピボット・タコメーター、デフィ・水温計、スミス・時計、ユンハンス・ストップウオッチ、ダットサンロゴ入りシフトノブ、レスレストン・バケットシート、ACタイプバケットシート、ミニ用シートレール、ウィランズ・5点式シートベルト
●タイヤ:ダンロップ・ディレッツァ02G 165/60R13
●ホイール:ブリヂストン・スーパーRAP 13×5.5J

初出：ノスタルジック スピード 2018年2月号 vol.015
（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード（全3記事）

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