「特に310のブルーバードにこだわっていたわけではなく、L型エンジンに換装されているのが面白くて手にしたんです」|1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード Vol.2

1200デラックスであれば時計が付くポジションを、DATSUNのエンブレムでフタをするのがブルーバード1000の特徴。同じくラジオが付く場所はユンハンスのストップウオッチ(左)とスミスの時計(右)を飾る。

       
ブルーバードをいじるとなると、真っ先に思い浮かぶのはP510系だ。
しかし、そんな王道には目もくれず、意表のベースを速くすることに燃える反骨のオーナーも数多くいるのだ。今回の標的は、P510の2代前となるP312。
OHVのC型エンジンを捨てSOHCのL型を積んだ「暴れん坊」の本質に迫る!

【1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード Vol.2】

【1】から続く

 今回の車両は、1963年式のセダン。型式でいうとP312となるモデルだ。このあたりの年式の、しかも小型セダンとなると、手を加えてオシャレに見せようとか速くしようと考えるオーナーは少なく、ほとんどが純正の状態に近いままで保存されているもの。だが、このP312はノスタルジック スピード本誌が目を付けるだけあって、エンジン載せ換えを済ませていた。2017年の2月に入手したオーナーによると、

「たまたまオークションサイトで見つけて買いました。特に310のブルーバードにこだわっていたわけではなく、L型エンジンに換装されているのが面白くて手にしたんです」
 とのこと。つまり、オーナーの手に渡ったときにはもうL14型のエンジンと4速フロアミッション、C10スカイライン用プロペラシャフトが付いた状態だったのだ。そして、購入後はサビによる燃料タンクのつまり、ラジエーターのつまり、ウオーターポンプの故障など、乗るのと同じくらい修理する時間もかけている。しかしオーナーは、「乗るのも楽しいですが、それと同じくらいいじるのも好きなので修理は苦になりません」と、明るく前向きだ。

>>【画像27枚】直列4気筒OHV・998cc43psのC1型エンジンから直列4気筒SOHC・1428cc・95psのL14型への載せ換えが完了されたエンジンルームなど





ホーンリング付きの純正ステアリングにパワーグリップを巻き、パワステなしのステアリング操作の負担を軽くする。コラムに固定しているのはデフィの水温計だ。





運転席はレスレストンのバケット+ウィランズの5点式ベルトで完全武装。助手席は小ぶりなACタイプのバケットのみでシートベルトなし。レールは昔のミニ用が流用できたそうだ。





もともとは3速コラムシフトであったものを、L14型エンジン換装とともに4速フロアシフトへと変更した。ミッションケースの大きさの違いからフロアのトンネル部分を切る必要があり、その傷跡が今も残る。


1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード(P312)
SPECIFICATION 諸元
●エクステリア:ルーカス・ヘッドライト、レイオットタイプレーシングミラー、前後バンパーボディ同色
●エンジン:L14型エンジン載せ換え(SUツインキャブ仕様)
●点火系:NGK・プラグコード
●冷却系:軽自動車用小型ラジエーター、電動ファン
●燃料系:ミツバ・電磁ポンプ
●駆動系:4速フロアシフト、C10スカイライン用プロペラシャフト
●サスペンション:(F)SP/SRフェアレディ用レース用ショックアブソーバー/クラウン用コイルスプリング、アッパーアームキャンバー角加工、(R)SP/SRフェアレディ用レース用ショックアブソーバー/ローダウンブロック
●ブレーキ:P510ブルーバード用マスターバック移植
●インテリア:ピボット・タコメーター、デフィ・水温計、スミス・時計、ユンハンス・ストップウオッチ、ダットサンロゴ入りシフトノブ、レスレストン・バケットシート、ACタイプバケットシート、ミニ用シートレール、ウィランズ・5点式シートベルト
●タイヤ:ダンロップ・ディレッツァ02G 165/60R13
●ホイール:ブリヂストン・スーパーRAP 13×5.5J

【3】に続く

初出:ノスタルジック スピード 2018年2月号 vol.015
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード(全3記事)

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【1】から続く

text : AKIO SATO/佐藤アキオ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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