アルミにアクリル! 軽量580kg&空力ボディを採用した小型スポーツ|1968年式 トヨタ スポーツ 800 Vol.1

ヘッドライト前面をアクリル製のカバーで覆うことで、空力性能を向上。空気力学を重視した機能的なデザインとなっている。

       
【1968年式 トヨタ スポーツ 800 Vol.1】

 現代の自動車社会において、「エコ」は欠かすことができない大きなテーマ。しかし、1965年4月に世に送り出されたトヨタスポーツ800は、半世紀以上前に現代でも通用する低燃費性を実現しつつ、なおかつ優れた運動性能を持ち合わせた「エコ・スポーツカー」のはしりだった。

 トヨタスポーツ800は、1962年に開催された「第9回全日本自動車ショー」に参考出品された「パブリカスポーツ」が始祖。これをベースに、量産に向けて改良を加えたのが1964年の東京モーターショーで披露された2代目パブリカスポーツで、翌年「スポーツ800」と名を変えて正式にデビューした。

▶▶▶【画像23枚】そのフォルムは空気力学を重視した機能的なデザイン。アクリル製のカバーで覆うことで、空力性能を向上させたヘッドライトなど


 基本コンポーネントは小型大衆車のパブリカがベースとなっているが、風洞実験から生まれたエアロダイナミックラインを採用し、当時トップクラスの空気抵抗値を実現したコンパクトなボディを架装。さらに、ボンネットやルーフ、トランクなどにアルミ合金、リアウインドーにアクリルを用いることで、580kgという軽さも手に入れた。また、デタッチャブルトップの採用により、手軽にオープンエアが楽しめることも、当時の若者に支持された要因のひとつといえよう。



フロントグリルもマイナーチェンジでデザインが変更された部分。オーバーヒートやオーバークールを防止するため、グリル奥に可変式のフラップ「クーリングダクト」が備わる。操作は運転席から行える。





独特な形状のドアアウターハンドルは、メッキ仕上げで美しいデザイン。取材車両はメッキ部分の曇りもなく、抜群のコンディションを維持。


【2】【3】に続く



1968年式 トヨタ スポーツ 800(UP15)
Specification 諸元
全長 3610mm
全幅 1465mm
全高 1175mm
ホイールベース 2000mm
トレッド 前 / 後 1203 / 1160mm
最低地上高 175mm
室内長 785mm
室内幅 1250mm
室内高 965mm
車両重量 580kg
乗車定員 2名
最高速度 155km / h
0→400m加速 18.4秒
登坂能力sinθ 0.441
最小回転半径 4.3m
エンジン型式 2U型
エンジン種類 空冷水平対向2気筒OHV
総排気量 790cc
ボア×ストローク 83.0×73.0mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 45ps / 5400rpm
最大トルク 6.8kg-m / 3800rpm
トランスミッション型式 前進4段後退 1段オールシンクロ
変速比 1速 4.200 / 2速 2.400 / 3速 1.550 / 4速 1.125 / 後退 4.33
最終減速比 3.300
燃料タンク容量 30L
ステアリング形式 ウォームセクタロータ(18:1)
サスペンション前 / 後 トーションバー式独立懸架 / 非対称半楕円リーフスプリング半浮動式
ブレーキ前 / 後 ツーリーディング / リーディングトレーリング
ホイール前後とも スチール(4J)
タイヤ前後とも 6.00-12-4PR
発売当時価格 59.2万円

初出:Nostalgic Hero 2016年 4月号 vol.174(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 トヨタ スポーツ 800(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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