オーナーの残したものは、今も何一つ捨てることなく大事に残している。|1975年式 トヨタ セリカ リフトバック1600 GT Vol.3

故人のひととなりを色濃く残すLB。

       
【1975年式 トヨタ セリカ リフトバック1600 GT Vol.3】

オーナーは、3人の子供もそれぞれ独立したころ、セリカLBを佐世保市に住む知り合いから旧車を譲られることになった。それが今回の取材車両だ。旧車乗りになったオーナーは水を得た魚のように生き生きとセリカLBを整備した。そして……。

【2】から続く

 クルマが完成すると九州内のさまざまなイベントに参加。特に北九州で行われている門司港レトロカーミーティングには毎年参加し、セリカ仲間との交流を楽しんでいたという。

 2014年、急に体調を崩し、入院することになったオーナー。家族の誰も気づいていなかったが、セリカLBのバッテリーには2014年1月14日と手書きで記載。入院前に気になっていたバッテリー交換を1人でやっていたのだ。年明け早々からクルマの整備を行い、イベントへの参加も計画していたのだろう。旧車仲間との再会を想像しながら、バッテリー交換するオーナーの姿が目に浮かぶ。しかし、その後再びセリカLBに乗ることなく、その2カ月後にこの世を去ってしまった。


【画像20枚】トムスのホーンボタンを装着したステアリング。規制前なので220㎞/hまで刻まれているスピードメーターなど

 3人の子供たちはそれぞれ独立し、本州に住んでいた。その中で次女は就職して神戸に住んでいたのだが、母を思い、実家へと戻って来た。

 現在は母と娘でショップを切り盛りする毎日。オーナーの残したものは、今も何一つ捨てることなく大事に残している。もちろん、セリカLBも例外ではなく、定期的に動かしている。

 悔やまれるのは、たった1つ。本誌の取材が少しだけ遅かったことだ。




クルマを受け継いだのは奥さま(写真右)。娘さん(次女)は、故人の入院を聞いて神戸から帰郷。2人でショップを切り盛りしている。セリカLBもぜひ娘さん(次女)に受け継いでほしいものだ。




コクピット内にも故人の趣味趣向が反映される。ステアリングはナルディでトムスのホーンボタンを装着。ステアリングの奥にはETCと2DINケース。


3連のサブメーターは左から電流・油圧計、水温計、燃料計。その下は標準装備のラジオとヒーターの温度調整レバー。

1975年式 トヨタ セリカ リフトバック1600 GT(TA27)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4215㎜
全幅 1620㎜
全高 1280㎜
室内長 1600㎜
室内幅 1330㎜
室内高 1055㎜
ホイールベース 2425㎜
最低地上高 165㎜
車両重量 995㎏
乗車定員 4名
登坂能力 tanθ0.60
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 2T-GR型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 1588㏄
ボア×ストローク 85.0×70.0㎜
圧縮比 8.8:1
最高出力 110ps/6000rpm
最大トルク 14.0㎏-m/4800rpm
変速比 1速 3.587/2速 2.022/3速 1.384/4速 1.000/5速 0.861後退 3.484
最終減速比 4.111
燃料タンク容量 50ℓ
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 マクファーソンストラット型コイルスプリング/4リンク・ラテラルロッド付コイルスプリング
ブレーキ前/後 ブースター付ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 185/70HR13
発売当時価格 82.5万円



初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 08月 Vol.170 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1975年式 トヨタ セリカ リフトバック1600 GT(全3記事)

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photo : NOBUTAKA KOREMOTO/是本信高

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