ホンダがターボエンジンでF1を席巻した時代、NAへのコダワリとともに登場したフラッグシップ|1991年式 ホンダNSX Vol.1

開発に約7年を費やし、前例のない総アルミモノコックボディを実現した日本初のスーパーカー、NSX。ホンダのNAへのコダワリがココにある。

       
開発に約7年を費やし、前例のない総アルミモノコックボディを実現した日本初のスーパーカー、NSX。ホンダがターボエンジンでF1を席巻し、日本中がターボ車であふれていた時代に、あえてNAエンジンを搭載した。そんなホンダNSX開発陣による横置きNAエンジンへのコダワリとは。

【1991年式 ホンダNSX  Vol.1】

 2013年11月22日〜12月1日までの10日間にわたって開催された第43回東京モーターショー。前回以上の来場者を集め、大成功に終わった。その要因の1つは各メーカーが力を入れたコンセプトカー。ホンダも例にたがわず、コンセプトカーを展示。その1つがNSXコンセプトだ。欧州のスーパースポーツに負けないデザインにV型6気筒ツインターボ+3モーターハイブリッドという意欲的なメカニズムを搭載した、まさに夢を具現化したクルマ。そして、NSXは多くのユーザーだけでなく、北米ホンダや欧州各国のホンダ、日本のホンダディーラーにとっても待望のクルマなのである。

 この状況は初代NSXの開発時とも似ている。NSXの開発は、もともとトップダウンで決まったものでなく、主に北米ホンダ、欧州各国のホンダから望まれて誕生したクルマであった。

 1970年代後半から80年代初頭にかけてホンダは、ライトウエイトスポーツカーで日本やアメリカで人気があったが、欧州では販売に苦しんでいた。そのため、欧州での知名度を一気にあげるスーパースポーツの登場が望まれた。またアメリカでも1986年からアキュラブランド始動が決まっており、イメージリーダーとなるクルマも必要だった。

 そこでホンダは、欧州で知名度をあげるため1968年以来休止していたF1参戦を決定。1984年(実質的には1985年)には、F1イメージを投影させたピュアスポーツカーの開発を開始した。


【画像14枚】バックミラーに設置された後付けのバックモニターや、レイズ製gramLIGHTS 57FXXホイール等、オーナーの手によりカスタマイズがほどこされた車両など



ドアハンドルに刻まれたNSXエンブレムがオーナーとしての喜びを感じさせる。





リアウイングは無限のプロトタイプで、ほとんど出回っていないパーツ。オリジナルのシルエットを残す。





リアディフューザーはゼロツーR(2002年から発売開始となったマイナーチェンジ後のタイプR)のものを移植。マフラーはARCの4本出しチタン製マフラーを装着。


【2】に続く

1991年式 ホンダNSX (NA1)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4430×1810×1170
ホイールベース(mm) 2530
トレッド前/後(mm) 1510/1530
車両重量(kg) 1350
エンジン型式 C30A型
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2977
ボア×ストローク(mm) 90.0×78.0
圧縮比 10.2:1
最高出力(ps/rpm) 280/7300
最大トルク(kg-m/rpm) 30.0/5400
変速比 1速 3.071/2速 1.952/3速 1.400/4速 1.033/5速 0.771/後退 3.186
最終減速比 4.062
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション 前後ともダブルウィッシュボーン
ブレーキ 前後ともベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後205/50ZR15・225/50ZR16
発売当時価格 800.3万円


初出:ハチマルヒーロー 2014年 02月号 vol.24(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1991年式 ホンダNSX (全2記事)

関連記事: NSX

photo : HIROTAKA MINAI/南井浩孝

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