赤いケンメリGT-R【後編】わずか7台しか販売されなかった赤色ボディ|1973年式 日産 スカイランHT 2000 GT-R 後編

ケンメリの特徴であるサーフィンラインを赤色のボディがさらに強調させている。前後のオーバーフェンダーも特別感があって、GT-Rはスポーツカーであることを主張する

       
【ハコスカとケンメリ|1973年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R 後編】
【前編】から続く

時代に翻弄され、わずか4カ月しか販売されなかったケンメリことKPCG110スカイラインGT-R。

当サイトおよび雑誌「ノスタルジックヒーロー」では、これまでケンメリGT-Rの生産台数を197台と記載してきた。
詳細は、販売された台数が195台で、レーシングモデルを含めた試作車両の2台を入れて197台という計算だが、日産自動車の公式発表では200台弱とされ、197という文字はない。

【画像15枚】ハコスカ、ケンメリともにGT-Rにのみ搭載された2L直列6気筒DOHCのS20型エンジン。キャブレターは純正でミクニソレックス40PHHが採用された

ケンメリGT-Rのボディカラーは3色が設定され、もっとも多いのがホワイトで約130台、次がシルバーで約70台。
赤はもっとも少なく、7台というのが定説だ。
当時のケンメリのカタログには、イメージカラーのブルーメタリックやホワイト、シルバー、ディープグリーンというボディカラーの写真は掲載されているが、赤はなく、前期の「ハードトップ1600・1800」のカタログにあるのみ。
しかも「ボディカラーはオーダーメイド色です」と記されていることから、標準色ではない。
また、GT-Rのカタログにボディカラーの記載はなく、掲載されている写真はシルバー色の車両のみとなっている。



>>ケンメリGT-R専用のエンブレムをフロントグリル内に装着。デザイン的にはハコスカ2ドアHTのリアに装着されたタイプと同系だが、Rの文字が赤の設定。


>>リアガーニッシュ内にもGT-Rエンブレムが付く。ウインカーを中央に組み込んだ丸形4灯のテールランプは、この後スカイラインのアイコンとなっていく。


>>車台番号はKPGC110-000011。実際に販売開始した車両は000051が最初といわれている。

今回紹介する車両は日産自動車が所有する、旧車好きな皆さんにはおなじみの日産ヘリテージコレクション所蔵車両。

製作された7台の赤色ケンメリGT-Rのうちの1台である。
グリルやオーバーフェンダーなどあとから修復した部分も多いが、ボディカラーは一度も塗り直されたことのない、実際に生産された赤色のままだ。

写真では朱色に近いように見えているかもしれないが、肉眼で見た印象は深い赤色で、大きなキズもなくキレイな状態を保っている。このクルマが存在することで、赤色のケンメリGT-Rのイメージが強くなり、心に残ることになったとも言える。
このケンメリをはじめ、日産ヘリテージコレクションに並べられている車両は見学することが可能。ぜひケンメリの赤色を味わってきてほしい。


>>ステアリング自体は標準タイプと同じ形状だが、ケンメリGT-R専用の赤色ホーンボタンが装着される。


>>スピード、タコメーターの2眼を挟み7連のメーターが並ぶアルミヘアライン仕上げのレーシーなインパネ。5800km弱の走行距離が、このクルマの希少性をさらに高めている。



>>シフトノブはウッドで、赤色のシフトパターンバッジが付く。


>>GT-R専用のリクライニング機能のないバケットシート。展示車両のためフロント、リアシートともにまったく使用感がなく、当然ながら破れもヘタりもない。ドアトリムも同様の状態だ。

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初出:ノスタルジックヒーロー 2021年2月号 Vol.203

       (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 日産 スカイラインHT 2000GTーR|ハコスカとケンメリ(全2記事)

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text : Nostalgic Hero/編集部 photo : Motosuke Fujii(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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