砂漠のロールス・ロイスは、元祖クロスカントリーSUV【1】1973年式 ランドローバー レンジローバー

最初期モデルのラジエーターグリルは、現在のJEEP各モデルを思わせる縦桟スタイルが特徴。1984年に追加された豪華版「VOGUE」以降は横桟型となる。一方「RANGE ROVER」ロゴは、現在も使用されている

       
現代の自動車業界で、最も人気の高いカテゴリーとなったSUV。アメリカのフォード・ブロンコなどとともに、
このカテゴリーのパイオニアとなったレンジローバーは、イギリスの伝統的富裕層のリクエストから生まれたモデルだった。

【輸入車版懐古的勇士 1973年式 ランドローバー レンジローバー Vol.1】

 地味ながら上質な中型車を作るメーカー、ローバー社から1948年に誕生した「ランドローバー(現在のディフェンダー)」は、大戦中のアメリカ軍が英国内で放出したジープに代わるものとして、小型トラクターの要素も与えられた多目的車だった。その走破能力と頑丈さは、英国の伝統である地方在住の上流階級「カントリージェントルメン」たちにもほどなく認知されることとなる。彼らは、自身が所有する広大な農場での移動手段として、あるいはこれも英国の伝統文化である狩猟などにも愛用してきたのだ。

 そして1970年6月にデビューした高級SUVの開祖「レンジローバー」は、そんなカントリージェントルメンたちの夢を体現したモデルといえよう。ビートルズやミニスカートなど、英国ポップカルチャーが華やかだった1960年代、上流階級の子弟の間では、都会で行われるフォーマルなパーティにランドローバーで乗り付ける洒落が流行したとされているが、高速走行が苦手で、しかもブラックタイの正装には到底似合わないランドローバーよりも、もっと快適でスタイリッシュなクロスカントリー車へのリクエストは少なからずあったという。




>> ドアノブも5ドアモデルのコンベンショナルなタイプに対して、3ドア時代はドア後端にシンプルな縦型ノブが取り付けられ、よりスタイリッシュな雰囲気。


>> 【画像18枚】この時代は露出したスタイルとなる給油フィラーなど。1982年に登場した5ドアモデルではリッド付きとなる






【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年8月号 Vol.188
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 ランドローバー レンジローバー(全3記事)

シリーズ: 輸入車版懐古的勇士

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text:HIROMI TAKEDA/武田公実 photo:DAIJIRO KORI/郡 大二郎

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