スバル360とステラを並べてみた|軽自動車が登場して半世紀が経過  日本の軽自動車はどのように 進化したのか?

今回、スバル360の半世紀を振り返る特集を組むことになった時、まずやってみたいと思ったのが、スバル360とステラを並べて写真を撮ることだった。半世紀という長い時間の間に、軽自動車がどれほどに進化したのか、読者とともに、この目で確かめたかったのだ。


 スバル360が誕生して以降、軽自動車は3度のボディサイズ変更と、2度の排気量変更が行われてきた。今こうしてスバル360とステラを比べてみると、同じ軽自動車ではあるものの、まったく別物のクルマに進化したといえよう。



半世紀の進化がもっとも表れているのが、インストルメントパネル回りだろう。鉄板剥きだしで、最小限のものしか付いていないスバル360。一方のステラは、デュアルSRSエアバッグをはじめ、エアコン、ステレオなど、安全で快適なドライブが楽しめる装備が付いている。クルマという道具に人が何を求めてきたのか? その変遷が垣間見える。

 実際に、撮影で使ったステラカスタムRSをドライブしてみると、小型乗用車と比べてもまったく引けをとらない動力性能を持っていた。しっかり踏ん張ってくれるサスペンション、踏力に応じて確実に減速してくれるブレーキ、よく利くエアコン、ABS&デュアルエアバッグといった安全装備に関してもぬかりない。半世紀を経て、スバルは世界に誇れる、高いクオリティの軽自動車を造りあげていたのだ。




今回の新旧2台を比べた中で、一番差があったのがパワートレーン系だ。スバル360は言わずと知れたリアエンジン・リアドライブ。一方、ステラはフロントエンジン・フロントドライブだ(AWDモデルもあり)。どちらのパワートレーンレイアウトも、スバル直系の血統なのだ。

 スバル360が生まれて、家族を持つ世のお父さんたちは、自分の奥さんや子供たちを愛車に乗せて、ドライブや買い物に出かけるのを本当に楽しみにしていた。まさに軽自動車は、日本の家族を幸せにするための道具だった。ボンネットの先端に輝くのは「六連星」のバッジ。スバルR‐2にもレックスにも、このバッジは付いていた。ヴィヴィオ、プレオ、R2、R1、そしてステラ。みんなスバル360直系の血統を誇っていたのだ。


トランクの左上にあるプレート。車台番号の最初の60は、60年式を示す。オーナーの峯村さんは通勤にも使っているそうで、バリバリの現役。「現在は、たまたま私が所有していますが、このクルマが今残っているのは、歴代のオーナーのおかげだと思っています。次の世代のオーナーに渡すまで、大切に乗っていきたいですね」

掲載:ノスタルジックヒーロー 2008年 08月号 vol.128(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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