時代の寵児! アルト ワークス全世代一気乗り【1】全5世代のワークス、一堂に会す

全5世代のワークス、一堂に会す

       
【アルト ワークス全世代一気乗り【1】全5世代のワークス、一堂に会す 】

 アルトは常に時代の寵児だった。

 初代アルトが登場したのは1979年。高額化する国産車の中で47万円という低価格を実現し、大ヒット。その後を受け、1984年にフルモデルチェンジした2代目アルト。しかしあまりに女性向けにシフトし過ぎたため、1985年に男性向けにアルトターボを登場させた。このクルマの意外なヒットから、さらなるホットモデルが求められ登場したのがアルト ワークスなのである。

 550cc時代の軽自動車初のツインカムターボに4WDシステムを搭載し、1万2000回転まで刻まれたタコメーターを装備。バンスタイルの外観ながら強烈な加速と、純正ながらカスタムカーのように荒削りなゴツゴツした硬い足回りが当時の若者を魅了。クラス最強の64 psをたたき出したことで、軽自動車版パワー競争の幕開けと呼ばれた。もっともこれが運輸省(現・国土交通省)に疎まれ、自動車メーカーは自主的規制を開始。この時のアルト ワークスの最高出力が上限として定められた。アルト ワークスが誕生した1987年から30年近く経ち、軽自動車の性能が当時とは比べ物にならないくらい向上した現在も、この数値は自主規制の名のもとに守られている。

>> 【画像63枚】一堂に会した全5世代のアルトワークス。その各車のディテールなど

 初代アルト ワークスの販売期間はわずか1年半。その後を受け、1988年に登場した丸形ヘッドライトの2代目アルト ワークス。いわゆるC系550と呼ばれたモデルだ。先代同様リアサイドガラスにバーが入ったボンネットバン(貨物)モデルで、エンジンはF5A型からF5B型に進化。さらに1990年の軽自動車規格改定に合わせ658ccのF6A型を搭載し、C系660と呼ばれるモデルに。また1991年のマイナーチェンジ時には、競技ベース車両のワークスRがラインナップされた。






 販売期間が短かった初代より大きく売り上げを伸ばしたC系だったが、その次に登場したH系は、ワークス史上最大のヒット。当時アルトの販売台数の半数がワークスだった(スズキ広報談)。人気の丸形ヘッドライトスタイルはそのままに、アルミ製のK6A型エンジンを搭載し、4輪ディスクブレーキがおごられた。もちろんR仕様が設定され、Kカーレースで活躍。さらにパワーウインドー、パワーステアリングが全車標準装備となり、快適性もアップされたモデルだ。平成ABCトリオからワゴンR、パジェロミニという男性向け軽自動車ラインナップが充実したことで市場が拡大。多くのパーツメーカーが軽自動車市場にも参入し、専門誌も次々に登場。カスタム系軽自動車の最盛期を迎えることになった。


 しかし、なみだ目と呼ばれた4代目アルト ワークスが登場した1998年、この盛り上がりは突然終えんを迎える。1998年の軽自動車規格改定に合わせて拡大されたボディはそれまでのワークスにはない居住性を備え、快適に。だが、新規格によってエコやクリーンさが求められたエンジンはワークスらしい荒々しさがなくなり人気が急落。約2年で販売中止となってしまう。


 しかしながら現在でもスズキのハイパワーモデルに搭載されている可変バルブタイミング機構をいち早く装備しており、マイルドな乗り味ながら実際の速さは歴代アルト ワークスを凌駕するもの。5代目アルト ワークスの登場により、4代目「なみだ目」アルト ワークスは再評価され、中古市場でも高騰しているとのことだ。



初出:ハチマルヒーロー 2016年 5月号 vol.35
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

アルト ワークス全世代一気乗り、全5世代のワークス、一堂に会す(全1記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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