510ブルSSSをDOHCに!【3】水穴を新設! カムスプロケットをどう合わせるかが最大の難所|1972年式 日産 ブルーバード 1600 SSS

プライベートチューンで仕上げたL16型改DOHCは210psを発揮!

       

510ブルSSSをDOHCに!

40年前、オーナーがこの510ブルを手に入れた当時、DOHCといえばまさにスペシャルなエンジンの代名詞。同時に、若者には絶対に手の届かない高根の花だった。それから30年、510ブルと共に手放さなかったDOHCへの夢を、オーナーは現実のものにした。愛車のL16型エンジンを、自分でDOHC化するという大技に打って出たのだ。

【1972年式 日産 ブルーバード 1600 SSS Vol.3】

【2】から続く

 もちろん、ボアピッチとヘッドボルトの位置が合っただけでは、他車のヘッドとL16型のブロックをドッキングさせることはできない。ウオータージャケットの位置は全く異なり、まずはこれを合わせる必要がある。不要なウオータージャケットにタップを切ってボルトを埋めてふさぎ、隙間には溶かしたアルミを流し込む。新たに必要となる部分には、水穴を新設していく。もちろんオイルラインも同様で、チューナーばりの高度な作業だ。

「ブロックの加工はデリケートだし、失敗できない作業でした。でも時間をかければなんとかなります。それよりも困ったのがタイミングチェーンまわり。カムスプロケットをどう合わせるかが最大の難所で、これには相当に悩みましたし、いろんな人たちに助けを請うています。この難関を乗り越えたことで、もう何が起こっても対応できる気持ちになれたんです」

 その難関をクリアできたのは、「カムスプロケットは別のクルマのものを使い、加工してタイミングを合わせる」という、「長瀬発動機」の長瀬肇代表からの助言だ。ヘッドに付いていたスプロケットを使うことしか見えていなかったオーナーにとって、まさに目からウロコ。また、スプロケットの加工は、仕事つながりの加工業者が引き受けてくれて問題は一気に解決したのだ。

 もちろん、これでオーナーのL16型DOHC計画が完成したわけではない。しかし、エンジンがきちんと機能することが分かって、気持ちが軽くなったことは事実だった。


>>【画像29枚】良好なコンディションの純正シート。最終モデルには、シートやダッシュパネルに珍しいブラウンがラインナップ。シュロスの4点式をベースに、日産のスポーツオプション風にアレンジを加えているハーネスなど



>> ドッキングしたヘッドはDOHCのためクロスフローとなり、吸気の位置が反対に。傾斜角がL型とは逆になるため、オイルパンのツボ部分はカットされている。





>> インテークマニホールドは、エンジン側のインジェクション用と、キャブレター用を途中で切ってつなげるという荒技。キャブはソレックス44PHHを装着しているが、OERφ47mmに交換予定。





>> タコ足は、ノーマルでは排気が追いつかないため、SR20型用のフランジ部を加工して取り付けている。


1972年式 日産 ブルーバード1600 SSS(510)


SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:メーカー特注レッド(全塗装)
■エンジン:L16型改DOHC(圧縮比12.6)、カム(IN332/EX288)、東名製バルブスプリング、CP製特注ピストン、オイルパン加工
■吸気系:ソレックス44PHH(ベンチュリーφ40mm、エア250、メイン190)
■点火系:ルーメニ製フルトラ、亀有MDI
■排気系:SR20型用タコ足改、自作φ76.3mmマフラー
■冷却系:純正ラジエーター3層加工(自作シュラウド)
■駆動系:OS技研製特注ツインプレートクラッチ、DR30スカイライン用ケース+S15シルビア用71Cミッション、ケンメリ用R180デフ+OS技研スーパーロックLSD(ファイナル4.1)
■サスペンション:(F)S130Z用ストラット流用車高調(AE92用ショートストロークダンパー)、スイフト製スプリング(7kg/mm)(R)タナベ製150サス、トキコプロドラGヘビー
■ブレーキ:(F)S15シルビア用4ポットキャリパー+180SX用ローター加工 (R)アルフィンドラム(加工)
■インテリア:ダッツンコンペステアリング、ワゴンR用電動パワステ自作加工、純正改240km/hスピードメーター/11000rpmタコメーター、大森メーター製サブメーター(電流、電圧、排気温、油圧、油温、水温)、エアコン装備
■タイヤ:ヨコハマ アドバン ネオバ185/60R14
■ホイール:RSワタナベ 14×6J




【4】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 ブルーバード 1600 SSS(全4記事)

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【1】【2】から続く

text:HIDEOKOBAYASHI/小林秀雄 photo:AKIOHIRANO/平野陽

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