「どうしてどこの街もそうしちゃうんだろう。このまま生かそうと考えないのかなあ?」|スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 第10回 中編(前編・中編・後編) 

すてきな喫茶店:たたずまいが愛されてこんな絵も描かれていました。同じ場所にレディーバードを止めて。

       
再開発前夜の広島駅前で、偶然入った味のありすぎる大衆酒場。
3日後に閉店するというそこは創業昭和34年。
昭和の香りのするお店とレディーバードが出合った1日でした。

【 スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 Vol.10 中編】

 前編から続く

 このマーケットが最高ににぎわっていたのが、まさにスバル360が生まれた時代。スバル360を愛す大貴誠にとって、同じぐらい大切にしたい風景なのです。けれど。ここはもう駅前再開発で取り壊される。おじゃました喫茶店の「パール」も「ビアンカ」も、大衆酒場「やよ福」も、本誌が発行される頃にはもう、営業を終えて、やがて建物も取り壊され、数年後には巨大な高層ビルに生まれ変わります。

「どうしてどこの街もそうしちゃうんだろう。このまま生かそうと考えないのかなあ?」
 と、「やよ福」のカウンターでウーロン茶とおでんとニラ玉をつっつきながら、隣の常連のおじさんとしゃべっていたら、店主のお母さんが「でもねえ、このあたりは昭和40年代からずっとそのまま手をつけることもできなくて、キレイになってホッとしてますよ。それに、ずっと休みなしに店をやってたから、やっと休めるのはうれしい。旅行にも行ってみたいし」と笑います。

 大貴誠が、たまにアクシデントに遭遇しながらも(この旅でもヘッドライトが片目に! でもスペアのライトを取り出して夜の街灯の下、約1時間で交換完了。前回は丸1日かかっていたというのに……人間、成長します)、大事に大事に手入れしながらレディーバードに乗っている。人にもクルマにも建物にも、地上のあらゆるものに始まりがあって終わりがある。だからこそ、素晴らしいものをいつまでも認めて、それを大切にしていきたいと思う気持ちと、ご両親から引き継いだあと40年近くお店を守ってきたお母さんの「やれやれ」という気持ちは、実はそれほど違うものじゃないかもしれない。
 

>>【画像20枚】たくさんの方たちと出会い、たくさん旧車と出合った門司港。小さなファンの男の子の出現には大喜び ! など



>> 広島到着!:修学旅行以来の広島。





>> 路面電車用のポイント切り替え操作塔(現在はオブジェ状態)とツーショット写真成功 !





>> 広島駅前は古いお店やモノがたくさん残っていてすっかりうれしくなったのですが……。







>> すてきな喫茶店:広島駅南口駅前。ここには古いすてきな喫茶店が2軒あります。大通りに面した「純喫茶パール」は創業昭和24年 !



後編に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2013年 02月号 Vol.155
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 Vol.10(全3記事)

関連記事: レディーバード

関連記事: スバル 360


 前編から続く

text: RUEKA AOKI /青木るえか photo: RUMI MATSUSHITA /松下るみ

RECOMMENDED

RELATED

RANKING