「2000GTと同時代のトヨタ車が欲しかった」オーナーの手に入れた正反対の2台|1969年 トヨタ カローラ バン 1200 デラックス

オリジナルはバーンホワイトという名称の塗色だが、このクルマはトヨタ2000 GTをイメージした独自の白で全塗装されている。

       
昔は各自動車メーカーから、多くの乗用車型商用バンがラインナップされていた。
普段は乗用車のように乗れ、いざとなれば多くの荷物を積むことができる働き者たち。
今あらためて彼らの姿を見ると、懐かしい昭和の風景を思い出さずにいられない。

【1969年 トヨタ カローラ バン 1200 デラックス Vol.3】

【2】から続く

 ここで紹介するのは1969年式のカローラバン1200デラックスで、車両型式はKE18V−Dとなる。初代カローラバンとしては最後期のモデルといえる。オーナーは、トヨタ2000 GTも所有する旧車好きで、このカローラバンを手に入れたきっかけは、2000 GTと同時代のトヨタ車が欲しかったことから。トヨタを代表する本格スポーツカーと大量生産の商用バン。用途はまるで正反対の2台だが、両車を観察することで、この時代のトヨタのクルマ作りに対する姿勢が見えてくる。


フロントストラットはダンパーとコイルスプリングの一般的なマクファーソンストラットの形状だが、左右のロワアームをつなぐリーフスプリングも併用している。

 走行性能面では後にレースでも活躍することになるK型エンジンと、フロント足回りにはマクファーソンストラットを国産乗用でいち早く採用するなど、先端技術がつぎ込まれている。また、同時代の商用車はコラムシフトが常識だった時代、他車に先駆けて採用したフロアシフトも操作性が高く、ユーザーの支持を得た。安全面では運転席、助手席ともに3点式シートベルトを装備。ダッシュボードにはぶつけても怪我をしないよう厚いパッドが付くなど、緊急時の安全を確保している。走行性能と安全性の向上には、トヨタ2000 GTで高速時代を切り開いたトヨタのこだわりが感じられる。カローラを知るほどに、トヨタ2000 GTへの愛着も深まる。

>>【画像20枚】オリジナルはバーンホワイトという名称の塗色だが、このクルマはトヨタ2000 GTをイメージした独自の白で全塗装されているボディなど


OWNER’S VOICE/完成度の高さにほれ込む



このカローラバンは手に入れて26年。サイドシルの腐食があり、15年ほど前に地元のレストア名人にフルレストアをしてもらった。その完成度の高さからトヨタ2000 GTの再生も依頼。ともに美しいコンディションを保っている。




1969年 トヨタ カローラ バン 1200 デラックス(KE18V-D)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3905mm
全幅 1490mm
全高 1400mm
ホイールベース 2285mm
客室荷台長 1480mm(860mm 以下カッコ内は5名乗車時)
客室荷台幅 1220mm(1200mm)
客室荷台高 845mm(835mm)
車両重量 760kg
乗車定員 2(5)名
最大積載量 400(200)kg
最高速度 135km / h
燃料消費率 20km / L
登坂能力sinθ 0.371
最小回転半径 4.55m
エンジン型式 3K型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1166cc
ボア×ストローク 75.0×66.0mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 68ps / 6000rpm
最大トルク 9.5kg-m / 3800rpm
燃料タンク容量 35L
変速 機フロア式 前進4段後退 1段オールシンクロメッシュ
変速比 1段3.684 / 2段2.050 / 3段1.383 / 4段1.000 / 後退 4.316 / 最終減速比4.444
ステアリング形式 / ウォーム・セクターローラー式
サスペンション前/後 マクファーソンストラット式コイル・リーフスプリング併用 / リジッド・リーフ
ブレーキ前後とも ドラム
タイヤ前後とも 5.00-12 6PR
発売当時価格 47万8500円

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 10月号 Vol.177(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年 トヨタ カローラ バン 1200 デラックス(全3記事)

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【1】【2】から続く

photo:TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

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