「60年代のクルマよりもレストアが難しい側面があります」|1984年式 日産 スカイライン HT 2000 ターボ インタークーラーRS-X Vol.3

ジャパンから受け継ぎ、その後R33まで9代続いたスカイライン伝統の水平ゼロ指針のメーター。

       
【1984年式 日産 スカイライン HT 2000 ターボ インタークーラーRS-X Vol.3】

【2】から続く

 今回の撮影車両は、DR30のスペシャルショップとして名を馳せ、本誌でも幾度となくコンクール級の個体を披露してきた「ユーティリタス」が手掛けたもの。この個体は2月に開催されたノスタルジック2デイズに出品され、多くの来場者が足を止めて食い入るように細部を観察。目の肥えた旧車フリークも認める、最上級の仕上がりなのだ。
 そもそも、ユーティリタスがDR30を専門的に扱うようになったのはなぜか。代表の池谷祐一さんは「やっぱり好きだからですね」と明確に答える。しかし、この言葉には、好きだからこそ妥協しないで自信のあるものを提供したいという、強い想いが込められている。

 そんな情熱を持つ池谷さんが仕上げたDR30は、専門店ならではの強みを活かして、貴重な新品パーツが随所に使われている。しかし、このような車両を作り上げられるのも、あとわずかかもしれない。ほとんどの部品が製造廃止となり、新品ストックも年々、いや日に日に少なくなっている。底をつくのは時間の問題か!? 「そうなったら、もう辞めるしかないでしょうね」と冗談めかして言うが、次の瞬間には真顔で「本当に深刻なんですよ。部品を作ることは可能ですが、コストと販売価格が折り合わない。たとえば、1個10万円を超える内装部品を買ってもらえますか? 普通に考えたら無理ですよね。それはあくまで例ですけど、個別に少量ロットで作ったら、そんな価格になってもおかしくないです」と話す。

 これはDR30に限った話ではない。多くのハチマル車ユーザーが同様の悩みと問題を抱えていることだろう。池谷さんの話からハチマル車は今、大きな分岐点に立っていると感じた。


▶▶▶【画像26枚】ウインカーレバーに設置されるクルーズコントロールの操作スイッチ。新品交換されている空調のノブなど



ダッシュボードには割れもなく、インパネまわりのコンディションは良好。ステアリングはノーマルをベースに、ポールニューマン・バージョンと同じ本革を巻き、イエローステッチで仕上げたオリジナルアイテム。





空調のノブは新品交換されている。





前後シートは大きな補修はなく状態が良い。内装は一部張り替え仕上げをしている。また、前後サイドウインドー間のウェザーストリップの劣化が雨漏りの原因となるため、ユーティリタスではオリジナルのセンターシールを数量限定で製作・販売。左右セット2万2000円(税別)。


1984年式 日産 スカイライン HT 2000 ターボ インタークーラーRS-X(DR30)
Specification 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4620×1675×1360
ホイールベース(mm) 2615
トレッド前/後(mm) 1420/1410
車両重量(kg)  1245
エンジン型式 FJ20ET型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1990
ボア×ストローク(mm) 89.0×80.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 205/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 25.0/4400
変速比 1速3.321/2速1.902/3速1.308
4速1.000/5速0.838/後退3.382
最終減速比 3.900
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 205/60R15(前後とも)
発売当時価格 287.9万円

初出:ハチマルヒーロー 2014年 08月号 vol.26(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1984年式 日産 スカイライン HT 2000 ターボ インタークーラーRS-X(全3記事)

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【2】から続く

Text : Rino Creative/リノクリエイティブ Photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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