乗り手を選ぶ初期型の魅力! 発進時は4000rpm以上でクラッチミートしないと走らない|1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W Vol.2

テールは逆アール状になっていて揚力を抑えるデザイン。サイドの大型エアインテークでエンジンルーム内に空気を送り込む。マフラーが左側にあるため、左テールレンズが汚れやすい。

       
【1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W Vol.2】

【1】から続く

 水冷フロンテ71は1971年5月の発売開始からわずか半年後の11月に、細部をマイナーチェンジしたフロンテ72へ。さらに1972年10月にもマイナーチェンジしてニューフロンテとなる。ニューフロンテは基本ボディが共通ながら、ヘッドライトが角目から丸目になるなど、フロントマスクを大幅にイメージチェンジ。このモデルから三角窓が省略されたのも大きな特徴となる。

 デビュー以後、短期間でマイナーチェンジが繰り返され、フロンテクーペも加わり、フロンテバン、エステートも含めると、70年代初頭のスズキフロンテは実にバリエーションに富んだ車種構成であった。

【画像24枚】空冷用に交換してあり、本来水冷にはないイエローゾーンが見えるタコメーターなど

 ここで紹介するフロンテ71GT/Wは、1971年の途中から投入された水冷の最上級スポーツモデルであり、生産された期間は前述のようにわずか半年程度でしかない。

 この頃のスズキの3気筒エンジンは、空冷から水冷に進化し、扱いやすくなったと言われることが多い。だが、初期の71GT/Wに関しては、決してそんなことはないとオーナーは言う。発進時は4000rpm以上でクラッチミートしないと走らないほど、パワーバンドが高回転型という、スパルタンなマシンだ。




フロントフードを開けると、想像以上に広いトランクスペースが現れる。右ライトの上にはラジエーターキャップ。底に見える蓋を開けると下にラジエーター、ヒーター、ブレーキマスターがある。




トランク内にあるコーションプレート。車台型式はLC10Wでフロンテクーペと同じ。空冷の71はLC10Ⅱであり、車台型式が異なる。





総排気量356cc、リッターあたり100㎰を超える37㎰を発揮するエンジン。外観上の特徴は初期型の証しである一体式ヘッド。クラッチハウジングは中央部に穴のないタイプ。後期型はシャフトが突き出している。






左ドライブシャフトに付くカップリング。初期は標準装備、後にオプション扱いになり、最終的には廃止されている。



1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W(LC10W)
SPECIFICATION 諸元
全長 2995mm
全幅 1295mm
全高 1260mm
ホイールベース 2010mm
トレッド前/後 1120/1100mm
最低地上高 160mm
車両重量 475kg
乗車定員 4名
登坂能力 sinθ0.47
最小回転半径 3.9m
エンジン型式 LC10W型
エンジン種類 水冷直列3気筒2サイクル
総排気量 356cc
ボア×ストローク 52×56mm
圧縮比 7.2:1
最高出力 37ps/6500rpm
最大トルク 4.2kg-m/4500rpm
変速比 1速 3.182/2速 1.875/3速 1.238/4速 0.880/後退 2.727
燃料タンク容量 27L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 コイルスプリングWウイッシュボーン/コイルスプリングトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ツーリーディング/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 5.20-10-4PR
発売当時価格 43.3万円


【3】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 12月号 vol.172(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W(全3記事)

関連記事: 忘れ得ぬGT

関連記事: フロンテ

photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

RECOMMENDED

RELATED

RANKING