S20型がカムギアトレーン駆動? 惚れ込んだオーナーがさらなるパワーを求めてチューニング|1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R Vol.2

純正オプションで用意されていた当時モノのリアスポイラー。非常にレアなアイテムだ。

       
【1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R Vol.2】

 エンジントラブルをきっかけにチューニングに目覚めた大淵さんの愛車は、ゴールドのボディカラーが目をひく。もとはシルバーだったが「珍しいから」という理由でこのカラーにオールペイント。また、純正よりも15mmワイドなリスタード製オーバーフェンダー、当時モノの純正オプションリアスポイラーなどを装着し、スパルタンさも表現する。

 しかし、このハコスカ最大のアピールポイントは、なんといってもエンジン。アール・ファクトリーのノウハウが注ぎ込まれた2.5Lフルチューン仕様で、φ84.5mmの鍛造ピストンと73mmストロークのフルカウンタークランクで2456ccへスープアップ。ハイカムはIN/EXともに300度で、コンロッドは高強度のH断面を採用。吸排気系はキャブがウエーバー48DOCEで、マフラーとタコ足はアール・ファクトリー製をチョイスする。

 なかでも注目は、アール・ファクトリー独自開発のオリジナルカムギアトレーンシステム。本来S20型はチェーン駆動だが、原形となったGR8型と同じカムギアトレイン式にすることで、チェーンのたわみや伸びがなくなり、理想的なバルブタイミングを取ることが可能。さらに、フリクションロスが軽減され、高回転でのレスポンスがアップするというメリットもある。また、ギアトレーン独特のサウンドも魅力のひとつだ。なお、これらのチューニングによって最高出力は290〜300psを発揮。軽量なボディと相まって、現代のチューンドカーにも匹敵する戦闘力を披露してくれるのだ。

 見た目はノスタルジーだが、中身には現代のパーツや最新のノウハウが取り入れられ、当時以上の輝きを放つハコスカ。「新」と「旧」が見事に融合した1台といえるだろう。


ここに登場するKPGC10は、そんなS20型に惚れ込んだオーナーがさらなるパワーを求めてチューニング。
そのハイライトは、2.5L化とGR8型ゆずりのカムギアトレーンシステムにある。


ノーマルのように見えるフロントマスクだが、実はリスタード製のFRPバンパーを装着し、オーバーハング部の軽量化が図られている。ヘッドライトはロービーム側のみマーシャル製に交換している。


フロントグリルの裏側にオイルクーラーを装備。フルチューンエンジンゆえ、必須のアイテムといえるだろう。さらに、その横には和光テクニカル製のCDIも設置されている。


キャブレターはウエーバー48DCOEで、現在のセッティングはメイン175、エア220。また、「現状はこれで満足しているが、φ50mmのキャブにも興味がある」とオーナーは話す。


美しい形状のタコ足もアール・ファクトリー製。オールステンレス製で、φ42.7mmの等長タイプというスペックを持つ。


マッハレプリカのステアリングが装着されたインテリア。ボディ同色にペイントされた内部は、カーペットが剥がされてスパルタンな印象だ。


ミッションはRB型用の71Cに換装し、エンジンの「オイシイ」回転域を使えるよう亀有製クロスミッションが組み込まれている。クラッチはOS技研製のスーパーシングルを装備する。見た目は純正のイメージ重視だ。


スピードメーターは内田モーターワークス製、タコメーターはエリオット製に交換。両サイドのサブメーターは燃料計以外すべて大森製で、油温、油圧、水温が並ぶ。

1972年式 日産スカイラインHT 2000 GT-R(KPGC10)主要諸元
●外装:ボディ総はく離フルレストア、プロテック製フロントスポイラー、リスタード製オーバーフェンダー/FRPバンパー/カウルトップ、アール・ファクトリー製FRPボンネット、純正リアスポイラー、マーシャルヘッドランプ、LEDテール
●エンジン:アール・ファクトリーS20型改2.5L仕様/300度カム(IN/EX)/カムギアトレーンシステム、真ちゅう3層ラジエーター、ATIダンパープーリー
●吸気系:ウエーバー48DCOE
●排気系:アール・ファクトリー製マフラー/φ42.7mm等長タコ足
●足回り:アール・ファクトリー製オリジナル車高調
●ブレーキ:F:APレーシング製4ポットリャリパー、R:DR30用キャリパー&ローター(R)、ケンメリ用マスターシリンダー
●ホイール:日産レース用マグホイール F:15×8.5J R:15×9.5J
●タイヤ:BS・ポテンザ F:RE11 195/50R15 R:225/ 50R15
●内装:マッハレプリカステアリング、純正改スピードメーター、エリオット製タコメーター、大森製追加メーター(水温、油温、油圧)、レカロ製SP-G(運転席)/SR-Ⅱ(助手席)

掲載:ノスタルジックスピード 2014年11月 Vol.005 (記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

「オイシイ」回転域を使えるよう亀有製クロスミッションが組み込まれているミッションなど【写真8枚】

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Motosuke Fujii/藤井元輔

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