「こんなんあるで」と電話がかかってきたのは、オイルショックでマツダが作ったレシプロ専用車|79年式 マツダ カペラ ハードトップ 1800 スーパーカスタム Vol.2

マーシャル製のフォグランプをバンパー下に装着。フロントグリルからフードが段付になっているデザインは空力特性を考えたもの。

       
【79年式 マツダ カペラ ハードトップ 1800 スーパーカスタム Vol.2】

当時、タクシーにも使われて、町中で本当によく見かけたCBカペラだったが、いつのまにか姿を消してしまった。取材車両のオーナーである今井稔博さんの元に、10年ほど前のある日、クルマの仲間から「こんなんあるで」と電話がかかってきた。

「古い変わったクルマがあると、私のクルマ仲間たちから『今井さんだったら、欲しいかもしれないね』と連絡があります。このカペラの時も、まわりの人たちは見向きもしなかったようで、私に声が掛かりました」

 実車を見に行くと、外観は少々くたびれていたが、オレンジ色のボディとハードトップのフォルムが醸し出す雰囲気が気に入り、購入することに決めたという。

「珍しいクルマだからといった安易な理由ではなく、僕ならばこのクルマに乗れる、似合うはずという、ちょっとナルシスト的な発想で買いました」

 今井さんの仕事は自動車関係ということで、まわりにも旧車に理解ある信頼できるメカニックがいる環境。カペラを維持する考え方も、予防整備を積み重ねて、故障の芽を摘んでいくことに気をつかっているのだとか。

「レストアはしていません。でも購入してすぐにゴム類などの消耗パーツを各種手に入れて、大掛かりな予防整備を行いました。その後、2年に一度は新しいパーツに置き換えたり、油脂類を交換しています。見た目は変わりませんが、中身は着実にリフレッシュしていくやり方で、現状維持を続けていきたいと思ってます」

 カペラを持ち続けることは家族も理解してくれているそうで、これからも今井さん宅の駐車場には、オレンジ色のハードトップが止まっているはずだ。


「国際車宣言、カペラ。」のキャッチコピーがカタログにあるように、どこか欧州車の雰囲気が感じられるリアビュー。防錆対策も万全で、カチオン電着塗装を採用した。ボディ色の名称はジョイフルレッド。


VC型、1.8L水冷直列4気筒SOHCエンジンを搭載。オリジナルの姿というか、ごくふつうのエンジンルームに見えるが、オーナーが消耗品関係を中心に新しいパーツに順次置き換えている。


ドアの内張りや前後のシートも、とてもいい状態で維持されている。装着のハーフカバーは当時物ではなく、現在売られている、タクシー向けの汎用品を流用。


「生地が伸びるので、どんなクルマにも付けられると思います」とのこと。旧車にも違和感がない。


CBカペラには予防安全対策が盛り込まれ、メーターパネル内には絵文字による表示も多用された。

1979年式 マツダ カペラ ハードトップ 1800 スーパーカスタム(E-CB2VS)主要諸元
●全長4305mm
●全幅1660mm
●全高1355mm
●ホイールベース2510mm
●トレッド前/後1370/1380mm
●最低地上高155mm
●室内長1805mm
●室内幅1340mm
●室内高1130mm
●車両重量1015kg
●乗車定員5名
●登坂能力tanθ0.49
●最小回転半径4.8m
●エンジン型式VC型
●エンジン種類水冷直列4気筒SOHC
●総排気量1769cc
●ボア×ストローク80×88mm
●圧縮比8.6:1
●最高出力100ps/5500rpm
●最大トルク15.2kg-m/3300rpm
●変速比1速3.403/2速1.925/3速1.373/4速1.000/5速0.854/後退3.665
●最終減速比3.727
●燃料タンク容量55L
●ステアリング形式ボールナット式
●サスペンション前/後テンションロッド付ストラット式コイルバネ/5リンク式コイルバネ
●ブレーキ前/後ディスク/ドラム
●タイヤ前後とも165SR13
●発売当時価格117万円

ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.156(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Minai Hirotaka/南井浩孝

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