天候と路面コンディションに翻弄された夏の富士|2023 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJI GT 450km RACE

MOTOR THINGS 2023/09/16

8月5、6日、静岡県の富士スピードウェイでSUPER GT第4戦となる『FUJI GT 450km RACE』が開催された。富士スピードウェイでの開催は、ゴールデンウィークと今回の真夏に行われる2大会が組まれている。
 予選が行われた5日は気温33度、路面温度45度と真夏らしい晴天に恵まれた。
 GT300クラスではA・Bの2グループに分かれQ1を争った後に、各グループ上位8台がポールポジションを争うQ2に駒を進めることができる。
 Q1では87号車JLOC Bamboo Airways ランボルギーニ・ウラカンEVOがセクター3でトップタイムをマークし、グループAで2番手を獲得。Bグループでは国内勢が上位を独占する中、4号車GOODSMILE 初音ミク AMGがトップタイムを記録。Q2では各車セッション後半からアタックを開始。終始速さをみせていた4号車AMGが見事ポールポジションを獲得。今回初導入となった88号車JLOC ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2は5番手についた。
 搬入日となる金曜から晴天に恵まれていた富士だったが、決勝日は朝から天候が不安定だったこともあり、スタート前に全車がグリッドに並んだタイミングで大粒の雨が降り出しレーススタートの13時45分には路面はフルウェットに。このためセーフティーカー(SC)での先導スタートとなった。GT300クラスは全車レインタイヤを装着。3周目にSC解除となり、レーシングスピードでのレースがスタート。
 直後、ポールポジションスタートの4号車AMGを含めたトップ3台が、全100周、450kmというロングランレースにも関わらず激しいバトルを展開。4号車AMGは一時トップを譲るも、7周目にトップへ再浮上。その後方では88号車ランボルギーニが次々にオーバーテイクを決め4号車AMGの背後へ迫る。そんな中、9周目に路面が乾き始め、各車続々とドライタイヤへスイッチ。
 全車がタイヤ交換を終え、ドライコンディションに路面が切り替わる中、4号車AMG、88号車ランボルギーニ、11号車日産GT‐Rに7号車Team Studie BMW M4が続きレースを展開していく。
 クリアなレースが続くと思われたが35周目、GT300車両に火災が発生しコースサイドに停車するも、消火活動のため再度SCが導入される。
 41周目にレースがリスタート。暗灰色の雲が上空に広がってくる中、レース折り返しとなる52周を迎え、各車ドライバー交代を開始。
 通常の300kmレースでは基本的に2人のドライバーで車両をシェアし争われるが、今戦のような450kmのロングレースでは3人目のドライバーを登録したチームもあり、より各チームの戦略が問われる。58周目にドライバー交代を終え、トップでのコース復帰をした4号車AMGだったが、その4秒後方には先にタイヤ交換を済ませ、ペースのあがった10号車GT-Rが迫る。一時は激しいバトルの末オーバーランを喫するも、トップをキープし逃げ切ることに成功した。
 迎えた66周目、再びコースサイドに激しい炎をあげストップする車両が発生。マーシャルの懸命な消火が行われるも、コースの設備にまで損傷がみられ、レッドフラッグ(レース中断)が宣言された。
 消火作業とコース復旧中に滝のような激しい雨に見舞われたこともあり、45分間に亘りレースが中断。16時42分に残り29周のレース再開となり、再びウェット路面からドライ路面に急速に路面状況が変化していく中、4号車AMGに2台のGT-R が迫る。激しいバトルの中、4号車AMGと2台のGT-Rがポジションを何度も入れ替えるトップ争いが展開し、4号車AMGが再度トップ奪還に成功。
 残り10数周、路面は完全ドライコンディションとなり、各車はドライタイヤへの交換、もしくはレインタイヤでのステイの選択を迫られる。トップを走行していた4号車AMGは残り10周でドライタイヤへ交換。しかしコース復帰直後、スピンを喫し大幅なタイムロスで、優勝争いから脱落してしまった。
 上位勢がタイヤ交換のタイミングの駆け引きをする中、レインタイヤで走行を続ける61号車スバルBRZがトップへ躍り出る。ところが、タイヤに熱が入り出したドライタイヤ組が猛追を開始。残り2周で11号車GT-Rがトップへ浮上すると、ファイナルラップで7号車BMW、6号車Team LeMans Audi R8 LMSがレインタイヤ勢のオーバーテイクに成功。7号車BMWが2番手、6号車アウディが3番手でチェッカーとなり、見事表彰台を獲得。ラスト数周でのタイヤ選択で明暗の分かれる劇的なレースとなった。



BMW
75kgという超ヘビーサクセスウエイト(旧:ウエイトハンデシステム)を搭載しながらも見事表彰台獲得となった7号車BMW。勢いがとまらない‼

 

audi
常に上位をキープし、安定的な走りをみせた6号車アウディが初の表彰台を獲得。

 

ウラカン
今回の富士から88号車 JLOCはランボルギーニ・ウラカンGT3 EVOのアップデートモデルとなる『ウラカンGT3 EVO”2”』へ車両をシフト。

 

mercedes
予選から快調な走りを見せるも、レース最終盤にトップ争いから脱落した4号車AMG。悔しさの残るレースとなった。

leman
ランボ
ランボ
ランボ
amg
amg

写真=南 博幸 Minami Hiroyuki 文=鈴木華子 Suzuki Kako

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