プロジェクトの概要は、サンバーのフレームは一切イジらず、そこにT2のボディを載せるというもの。ホイールベースは短くなるので、早速ボディをショート化。トレッドもT2のボディに対してナローになるが、空冷VWカスタムの世界では“ナロートレッド”が定番メニューなので、これは狙いとしてあえてそのまま生かす方向に。ちなみにT2にはトラックがあるのに伊藤サンがわざわざバンをボディに選んだのは、「三方開のベッドが嫌い」だから。サイドシルエットが美しい一方開のベッドを作る為に、窓なしのパネルバンをベースとして選んだのだ。
>>【画像13枚】タイプ2の皮を被ったサンバーの詳細をCHECK!!
で、屋根をぶった切り、スライドドアはカットし全長を詰めつつスムージングして、本来T2には存在しない一方開のベッドをワンオフ。バンボディをトラック化したので、存在しないキャビン後方の窓及びパネルもサンバーの物を移植して製作した。
インテリアは車検を考慮し、完全にサンバーのまま、エアコンもキープ。シートやダッシュ周りはT2ボディとマッチングするよう巧みにアレンジされている。かくして完成したこのクルマは、オーナーのキャラクター(主に髪型)と“クルマとして第二の人生を歩んでいる”ことから伊藤サンが「あふろ2号」と命名(笑)。昨年のホットロッドカスタムショーに出展させ、VW好きたちからもサンバーだと気づかれない見事な変身ぶりで話題をさらった。
旧車の見た目で中身は最新、というのは誰もが思い描く理想のクルマだが、「あふろ2号」はまさにその具象化だ。
【『カスタムCAR』2020年4月号掲載】
BASE CAR:サンバートラック 1994年型
SOURCE:ソウル・アート&ロッド
OWNER:mt labo
SPECIAL THANKS:K’S collection、ERIGON、VINTAGE GARAGE FREAK、
My bows、FLAT 4、TIRE FITTER、福田製作所
PHOTO/南井浩孝 TEXT/鈴木貴義