王道アメリカンカスタムで魅せるMS51クラウン

       
日本のアメリカン・カスタムシーンをリードする雄といえば、ご存知『ムーンアイズ』。オールドクラウンのカスタムにも長けており、社内には専門部門クラウン クラシックスも設けている。そんなムーンアイズは、50後期型のセダン、バン/ワゴン、ピックアップに1JZエンジンを載せるプロジェクトを手がけて来たが、今回はハードトップをベースにカスタムを敢行。それがここで紹介するMS51だ。初見の印象は「白でキレイで、ボイド履き。いかにもな王道タイプ」だが、手だれのムーンが手がけただけに、単なるレストアやエンジン換装で終わらせたクルマではない。

オールペンしたホワイトボディは、当時の有名キャッチコピーとなった「白いクラウン」の純正色ユセホワイトではなく、白さ際立つベンツCクラスの純正色。「クラウンにはこの色が似合う」と着眼してのペイントは、クラウンファンをうならせるマッチングを見せている。ボディのコンディションも素晴らしく、レンズ類やモール等もセットし直したことで、新車のように美しいグッドルッキンな外観を獲得済みだ。サラリとキメたホイールは、今では入手困難となったムーンアイズ オリジナルの「ボイド デイジー」。レアさだけでも価値アリだが、リアには通常履けない17 インチ/8Jをセットするため、リアエンドのナロードまで手がける荒業も披露する。

程度のよい内/外装パーツの装着は、クルマを美しく見せる重要なポイントだが、随所に表れるコダワリや定番で終わらないカスタムメニューこそが、このクルマのアイディンティティー。ここにムーンプロジェクト最新版と呼ぶべきスポーティー・クラウンが完成だ。やはりクラシック・クラウンには、王道アメリカンスタイルがよく似合う!


【画像10点】MS51クラウンの全貌



>>旧型クラウンのエンジンスワップではもうおなじみの2.5L/1JZエンジンを、ブラックにペイントしたエンジンルームにスッポリ収める。セダンやワゴンなど、何台もの載せ換えを行ってきただけあって、配線の処理技術などが向上し、過去のプロジェクト車と比べフィニッシュレベル上がっている。



>>ハードットップならではのアイデンティティー、異形角2灯ライト(H4加工済み)を含むフロントマスクは、まるで新車かと思わせるほどの完成度を見せる。バンパー内のレンズは、純正のオレンジからクリア仕様に変更されている。




>>光り輝くエンブレムやバンパーは、リクロームの手間を惜しまない職人による仕事のたまもの。オートマのミッションに合わせ、当時のオートマ仕様「トヨグライド」のエンブレムもガーニッシュ部に配される。



>>装着されたホイールは、ムーンアイズ オリジナルのボイドデイジー。1995年製造のアイテムのため、ムーンであっても今からの入手は難しく、秘蔵品をセットしたそうだ。リム幅はF/7J、R/8J。わざわざリアエンドをナロードまでして履かせただけに、このクラウンの大きな見ドコロとなっている。



>>純正では2種類のフェンダーミラーが用意されているが、アメリカン・スタイルを目指すムーンアイズとしてはメッキのカマロ・スタンダードに変更して、己の立ち位置を明確に!





>>ウッドステアリング、タコメーターなど、ハードトップ用装備が並ぶインテリア。実はメーターは、フェイスは50系で中身が130系。シフターはオリジナルの3速だが、実際は130系のため4速となっている。美しいシートは純正のデザインを踏襲して張り替えられた。



>>エンジン&ミッションのみならずアーム類、プロペラシャフト、リアエンド、ブレーキまでもドナーとなった130型クラウンから移植しつつ、ローダウンに対応出来る社外のラテラルロッドや8Jホイールを組むためのナロード加工といったワンオフ技も満載だ!



>>ボディカラーは2000年代のメルセデスで猛威を振るったアラバスターホワイトでオールペン。当時のキャッチコピー「白いクラウン」からベンツカラーの「真っ白なクラウン」にチェンジした。絶妙なバランスを見せるローダウン具合&タイヤのカブリ具合に、長年クラウンを手がけて来たムーンアイズの熟練技が光る。


『カスタムCAR』2013年1月号掲載】

BASE CAR:クラウン・ハードトップ 1970年型

ムーンアイズ

PHOTO/能勢博史

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