【ウエストファリアに憧れて】タイプⅡでVANLIFE

Base Car:1974年型 Volkswagen タイプⅡ ウエストファリア

       
北米を中心にブームとなった「バンライフ」と呼ばれるライフスタイルは、「旅」を前提とするライフスタイルのこと。今や日本でも一般的に認知されるワードとなったが、そんなバンライフという生活様式で、古くから人気なのがフォルクスワーゲンタイプⅡ。タイプⅡでも、メーカー純正の架装メーカーであるウエストファリアとなれば、マニア垂涎の的だ。ここでは、ウエストファリア製のタイプⅡに乗るオーナーさんをご紹介。多分にバンライフ的要素を感じるウエストファリアをご覧あれ。

レトロな時間を愉しむ 走るヴィンテージ空間


 ワーゲンバスはいつの時代にあっても、スローライフを愛する自由人からは魅惑的な乗り物に見えるよう。タイプⅡは空冷VWのエンスージアストやカスタムフリークのあいだで昔から愛されてきたが、昨今のバンライフ流行の影響で、マニア人気のみにとどまらない模様を呈している。特にキャンパー仕様のウエストファリアは人気急上昇中だ。



 そもそも「ウエストファリア」とは何かを説明すると、これは19世紀に創業した歴史あるドイツのコーチビルダー(架装メーカー)のこと。馬車の製作から始まった企業で、今を遡ること65年前、1951年に自社のキャンピングボックスをVWタイプⅡに架装したのが、コーチビルダーとしての始まりだ。1962年にタイプⅡベースの本格的キャンパー「SO34」をリリースし、同時にフォルクスワーゲン純正採用のコンバージョンとしてヨーロッパ各国やアメリカへの輸出を開始。そう、VWキャンパーは他社製のバンコンバージョンも存在するが、「純正」であることがその圧倒的な人気を誇る理由なのだ。

 休日のヴィンテージ・オートキャンプを夫婦で愉しむことをライフスタイルとする鷺野サンの愛車は、レイトバスこと2代目タイプⅡのウエストファリア。空冷VWの世界で1972年以降の生産車を指す“レイトレイト”の’74年型で、1967年以前の初代アーリーバスより、近代的かつ快適装備のため、ココ数年で車体価格も高騰していることも付け加えておこう。

 ちなみに日本でのウエストファリアのキャンパーは、代理店だったヤナセが新車当時に販売したディーラー正規車よりも、欧米から中古並行で持ち込まれた個体が大半。この1台もボディサイドの前後にサイドマーカーが備わることから、北米仕様車と判別できる。ポップアップルーフも含めた内外装のコンディションは極めて良好で、しかもクーラー完備とくれば、ファンな旅のアシには申し分ナシの個体といえるだろう。

 そんな鷺野夫妻のレイトバスとの付き合いはすでに10年目。お2人ともキャンプ好きで、アンティークな家具や雑貨を集めるのが趣味だけに、年代物のVWキャンパーに行き着くのにも納得。’74年型を選んだのは旦那様の生まれ年と同じなのがキメ手だった。ではあるが、タイプⅡに興味を持つキッカケとなったのは「結婚前からうちの妻がどうしても乗りたいという夢がありまして……(笑)」との話。もともと空冷VWマニアではなく、おしゃれなキャンピングカーとしてレイトレイトのウエストファリアに憧れ、現在に至ったというワケだ。



 雰囲気重視でカッコよく乗ることができ、余暇を豊かにしてくれる存在。それが鷲野夫妻のVWタイプⅡウエストファリアだ。だからこそオーナーの趣味性を色濃く反映した、おしゃれヴィンテージキャンパーであるわけだ。

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>>シートをフルフラットにし、ポップアップルーフを開くことでロフトベッド風の広々とした就寝スペースに早変わり。フロントシートと同じオレンジのタータンチェック生地はウエストファリアの1974〜75年モデル純正で、新車時のオリジナルをキープ。



>>テーブル上の赤いランタンは1977年製のコールマン200a。手前のランタンも色違いのcoleman200aで1983年製。右下に見えるのはスコッチハミルトンのピクニックバスケットだ。こんなアイテムに囲まれてのオフな時間は贅沢な限り。


初出:OUTDOOR あそびーくるBOOK 2018年2月号 Vol.01

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Base Car:1974年型 Volkswagen タイプⅡ ウエストファリア
オーナー:鷺野成人さん

文 / コンヒデキ 写真 / 南井浩孝

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