1955年10月5日のパリ・サロン。そこにあったのはハイドロニューマチック・システムとシトロエンDS|1975年式 シトロエンDS 23【1】

1975年式 シトロエン DS23。デビューから1967年までの2灯ヘッドライトモデルは通称「丸目」、それ以降の4灯モデルは「猫目」と呼ばれ、それぞれに根強いファンが存在する

       
【輸入車版懐古的勇士 1975年式 シトロエン DS23 vol.1】

 1955年10月5日に開幕したパリ・サロンは、のちに自動車史に残るオートショーとなった。この会場にて名作シトロエンDS19が、まさしくセンセーショナルという言葉がふさわしいデビューを果たしたからである。

 シトロエンDS19は、あらゆる観点から見ても革命的と言うほかない、アバンギャルド要素があふれるクルマとなっていた。中でも象徴的なメカニズムが、サスペンションに採用された「ハイドロニューマチック」。これは油圧バルブにメカニカルポンプを組み合わせて、前後サスペンションの作動を自動制御するものである。しかも、共通のシステムを利用してクラッチレスの半自動操作を可能とするトランスミッション「Cマチック」やパワーステアリング機構が採用されたほか、前後のブレーキサーボもすべて、ハイドロニューマチック・システムによって賄われていたのだ。

 しかもシトロエンDSが衝撃的なのは、メカニズムだけに留まらなかった。アバンギャルド的な内外装も、同時代の北米ビッグ3製コンセプトカーにも負けないほどに未来的。さらに前衛芸術家としても知られるイタリアのフラミニオ・ベルトーニが手掛けたスタイルは、時代を超えた美をたたえていたことから、今なお自動車美の極致として認知。現在では、そのカリスマ性は伝説の域に達しているのである。

【画像14枚】史上最高のユニーク性を持つシトロエンDS。そう呼ばれる理由が、当時にはなかった未来的なデザインだったのも一つ。この時代のDSには、少々イカツイ形状のダイキャスト製ドアハンドルが装備される



>>純粋な流星型を追求すべく、後輪トレッドを前輪から格段に狭めた特異なレイアウトがよく分かる。「シュガースクレーパー」と呼ばれるルーフ後端のテールランプも、実に個性的。




>>ホイールキャップも世代やグレードによって数種類が存在。最終型の豪華版「パラス」は、このタイプ。


1975 Citroën DS 23

全長×全幅×全高(mm) 
4874×1803×1470 ホイールベース(mm) 
3125 トレッド前/後(mm) 1516/1316
車両重量(kg) 1330
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量(cc) 2347
最高出力(ps/rpm) 115/5500
最大トルク(kg-m/rpm) 18.7/3500
ボア&ストローク(mm) 93.5×85.5
圧縮比 8.75:1
サスペンション ハイドロニューマチック


【2】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年10月号 Vol.195

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1975年式 シトロエンDS 23(全3記事)

関連記事:輸入車版懐古的勇士

関連記事:シトロエン

RECOMMENDED

RELATED

RANKING