バルブクラッシュの原因判明。2リットルユニットも加えて続く新エンジンのテスト!|「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行【その4】

ヘッドカバーを取り外した状態。遠目から見ると何も起こっていないように見えるが…。

       
OS技研が開発した4気筒DOHCエンジン「TC16-C1」。これをPB110サニー・エクセレントに搭載し、クラシックカーレースに参戦する「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」は雑誌「NOSTALGIC SPEED」において連載中の人気企画だ。

そのOS技研がいよいよレース本番を目前に、走行テストを実施した。
その様子をリポートしていこう

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【画像10枚】ヘッドカバーを取り外し、トラブルの原因を究明していく


【その1】伝説のエンジンTC16の市販化に向けてレース参戦! OS技研「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行を実施!

【その2】完成度も十分の2.1リットルと新開発の1.8リットル。どちらのTC16をテストする?|「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行

【その3】いよいよ1.8リットル仕様のTC16-C1のテスト開始! しかし想定外のトラブル発生!?|「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行

バルブクラッシュの原因はクランクキーの破損
今後は1.8リットル仕様に加え、2リットル仕様もテスト予定

9月13日の岡山国際サーキットで、3周目にトラブルが発生した時の症状をステアリングを握っていた河上さんに聞いてみた。
「バチンと音がしたあと、ミッションは入るけれどクラッチを踏んでも反応がなくなった」という河上さん。裏ストレートで白煙が出て、オイル漏れも発生している状況を加味して、富松さんと若林さんが原因究明の作業に入る。懸念されたミッションはケースにクラックもなく、クラッチも繋がるので問題なしと判断。次に慎重にクランキングすると、圧縮が不規則で、正常時のリズミカルなサウンドではない。この診断から、エンジンに原因があることが確定した。結果からいえば、クランクキーの破損によるバルブクラッシュ。内視鏡でピストンとバルブが当たっていることも確認し、ヘッドカバーを開けると、IN/EXのカムホルダーの根元にクラックが入っていた。クランクを回してみたところ、スムーズに動かないことから、キーが飛んだことでピストンとバルブが衝突し、その勢いをカムホルダーが受け止めて割れたと推測できた。懸念していた部分がアキレス腱となってしまったようだ。
「クリアランスなどもチェックしているので、ピストンとバルブが衝突することはまったくの想定外です。ただ、キャブやプラグ、ピストントップの状態は良好なことは確認できましたので、今後については会社に戻っての話し合い次第ですが、現場ではレースまで時間がないこともあり、φ86㎜×86㎜の2ℓ仕様と、79㎜ストロークのオリジナルクランクを組み込んだ1.8ℓ仕様の2種類のTC16-C1エンジンを製作し、テストしたいと考えています」と富松チーフメカ。
 レースが近づく中、さらに仕様が違うもう1タイプを製作するプランも飛び出すなど、参戦するからには勝ちたい、勝つために最善を尽くしたい思いがひしひしと伝わる。果たしてレースにはどのパワーユニットで参戦するのか!? 残された時間は約1カ月。若きエンジニア若林さんと、それをサポートするチーフメカの富松さんの師弟コンビを軸とした開発陣の格闘はギリギリまで続く。




>>ピストンとバルブが当たった瞬間、押し上げる力の逃げ場がなく、IN側はカムホルダーの付け根にクラックが入っていた。




>>EX側は、カムホルダーの付け根だけでなく、3番、4番周辺のキャップも大きく破損。正面から見て取り付け位置が左側に歪んでいた。現場で見る限りでは、バルブ、カムホルダー、ピストンの交換で復活できそうだが……。


>>今回は残念ながら3周でテスト中止となってしまったPB110サニー・エクセレント。実戦に向けてのトライは続いていく。

photo : Yukio Yoshimi吉見幸夫 /text:Shinichi Yamazaki/山崎真一

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