ホイールありきで仕上げたUSライクな510ブルSSS!

       
欧米が認めた日本車のエポックメイクとして、S30フェアレディZと並ぶグローバルな旧車人気を誇る510ブル。USや豪州あたりじゃ奔放なカスタムでイジって遊ぶ日の丸ビンテージの超王道だ。で、その感覚をトレースしたネオレトロなアプローチが日本の510ブル界の今ドキの牽引的スタイルとなっている。

そのダークホース的ショップである神奈川の「S&Aオートクリエイト」が手がけたのが1970年型4ドア。海外の510党がうらやむ日本限定のスポーティ版SSSの稀少1800cc版だが、BREデザインのフロントスポイラーや往年のUSオプション風のサイドストライプでアレンジ。国内SSSを尊重したボディながら、脱和風なカジュアルムードを演出済みだ。

そしてオールドカー党が「えっ!?」と驚嘆するツボが、絶版品である米アンセン製ディッシュマグ「スプリント」の17インチを程よいキャンバーで収めた足元だ。というのも、本来13インチが標準装備であるため、オフセット±0の17”×7Jがノーマルフェンダーで到底入るハズがない。そこでフロントは、S130Zストラット流用改の車高調でトレッド幅を稼ぐ裏技を投入。さらにブラケット加工でDC5インテグラ純正品を流用したブレンボ製ブレーキを収める足回り等、太いホイールの無理履きで生じる障壁を理想的なアライメントのもと、高次元にクリア。コレがまさに走りの旧車ビルダー「S&A」の手腕なり。

70’sレトロフューチャーな足元メイクありきの“手数よりバランス”的玄人仕上げは、海の向こうのストイックな510マニアたちも目を見張るハズ。海外目線でオールドDATSUNを楽しむ新スタンダード・カスタムここにアリだ!!

写真9点>>USライクな510ブルの全貌!


>>このホイールを履きたい一心で足回りをカスタム。サイズは17インチ7J、インセット0、タイヤは205/40R17だ。リア足はセミトレ式なので車高を落とせばタイヤはフェンダー内に収まるが、干渉は避けられない。そこで、インナーフェンダーのプレスライン部の凹凸を平たくするべく叩き出している。


>>レーシングスタイルミラーは本来ボルトでボディに直付け。だが、それを嫌ってマウント部をワンオフ製作し、ウインドーのモールとウエザーストリップの間に挟み込む形でセットした。


>>USに設定のない1800SSSは国内でもレアな個体。そんな背景もアリ、US向きのカスタムだが、顔回りは純国産を主張する。ドライカーボンのチンスポイラーはS&Aのオリジナル品だ。


>>フェンダーへの干渉を防ぐため、純正よりキャンバー角の寝た130Z用の車高調をセット。ピロ化された調整式テンションロッドも装着しており、キャスター角も寝せている。キャリパーはDC5インテグラ用を流用しているが、そのまま装着すると外側にはみ出すため、オリジナルのキャリパーサポートを使って車体側へオフセットしている。


>>エンジンは純正のL18型1800ccで、腰下まで割ってOH済み。キャブレターはソレックス。マスターバッグは新品だ。配線類はなるべくエンジンルームから見えないような取り回しで、バッテリーはトランクへと移設。おかげで見た目スッキリ!



>>シートはブラックレザーで張り替え済みのレカロをセット。CROWのシートベルトもセットする。イグニッションコントローラーMSD 7AL-2は、助手席足元に配置されている。


>>510ブルには珍しい17インチも小ワザの効いた足メイクで、ナイスなシャコタンフォルムに。ボディサイドに入るDATSNロゴはUSオプションにあったものを、ポルシェ風の書体にアレンジさせる仕上がりで、これまたナイス!


カスタムCAR2013年5月号掲載
BASE CAR:ダットサン・ブルーバード1800SSS
SOURCES&Aオートクリエイト

PHOTO/平野 陽

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