鬼助 ペイントが生み出す好バランスとレトロな味付けがジャストマッチ

リアには荒れ狂う海を描いた迫力あるペイントをフィーチャー。クルマ全体のレトロムードともばっちりマッチした作品は、気鋭のペインター・モモタローが腕をふるった。

       


以前から平ボディ車のアートは、バランスが難しいとされてきた。それが長大な荷台を背負った大型車ならば、その難易度はなおさらだ。しかし、そんな言葉は意に介さないとばかりに、大胆なアートアップを敢行して、味わい深いレトロ感を漂わせたこのクルマを作り上げた。

トップパートはウロコステンレス製の平型バイザーにアシンメトリーなミラーステーをコンビネーション。左右で取り付け位置と長さを変える手法は、デコトラ時代を踏襲。

バイザーにやや間隔をあけて設置されたマーカーやミラーステーの棒チップ、ウロコステンレス仕様のワンマンミラーなど、ディテールにおいてもトップパート全体の雰囲気を決定的なものとしている。そしてフロントバンパーには、独特の形状のストレートタイプバンパーを採用。

まだ舟型バンパーが生み出される前の時代に流行したような形状が、現代では逆に新鮮に映る。さらに、フロントグリルをあえて外したままにし、ヘッドライトを810用へとスワップすることで、ちょい悪マスクを演出する。

荷台周りの鳥居前面やスプラッシュガードなど要所にウロコステンレスを配置し、クルマ全体を通してレトロムードが貫かれている。加えてアオリのリアエンド近くのモモタローが腕をふるった文字ペイントが重量感を生み出し、ボディの長さが程よくスポイルされている。フルアートでありながら、好バランスを保っている秘密は、このあたりにあるのかもしれない。

【写真6点】味わい深いレトロ感ある平ボディ車。

カミオン2010年7月号トップアートをもとに再構成

RECOMMENDED

RELATED