【ワクイミュージアムが所蔵する赤いウイングドBの高性能モデル|1924年式 ベントレー 3リッター スピードモデル 前編】
「白洲次郎がイギリス留学時代に乗っていたベントレーが、日本国内の自動車博物館にある」
これはわが国のクラシックカー愛好家の間では、よく知られている事実だ。
白洲次郎は終戦直後の時期に、のちに首相となる盟友・吉田茂に請われてGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)との折衝に当たった人物である。
第2次世界大戦の敗戦で、事実上の壊滅状態にあった日本を独立国家としての尊厳を保ったまま立て直すとともに、戦後の飛躍的な復興の基盤を作った功労者の一人とされている。
加えて、その卓越したファッションセンスやキャラクターから、「歴史上の人物で最もカッコいい日本人の一人」と称され、男女を問わず日本中からリスペクトされている。
またトヨタの2代目ソアラ誕生に大きなサゼスチョンを与えたエピソードは、クルマ好きにはよく知られている逸話だ。
【画像13枚】世界的にもレアなロールス・ロイス/ベントレーを所蔵するワクイミュージアム。海外にもその名を知られている日本を代表する自動車ミュージアムだ。「ル・マン」ボディには、容量100L超の巨大なレース用燃料タンクが取り付けられるその白洲次郎が英国ケンブリッジ大学に留学した際に愛用した「ベントレー3リッター・スピードモデル」そのものが、2004年春に日本上陸。
以後、この個体を所蔵するワクイミュージアムの象徴となってきた。
もともとバンデン・プラ製4座ツアラーとして製作され、「653」のシャシーナンバーを持つこの1924年式ベントレー3リッター・スピードモデルは、白洲次郎が英国で愛用していた当時の登録ナンバー【XT7471】が今でもそのまま残されている。
【後編】に続く>>ホイールベースは2984.5mmとタイトな設定で、もちろんスタイリングはこの時代のレーシングカー
そのもので、スポーティなフォルムとしている。
>>3リッター時代のラジエーターグリルは、頂部が丸みを帯びたクラシカルなデザインであった。
>>この個体は3リッターでも最終期に属する1台なので、フロントにもブレーキを装着。タイヤも、やや
太めのものが組み合わせられている。
【すべての画像を見る】【後編】に続く
初出:ノスタルジックヒーロー 2020年10月号 Vol.201
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)1924年式 ベントレー 3リッター スピードモデル(全2記事)関連記事:欧州名車列伝
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