【欧州名車列伝|1972年式 メルセデス・ベンツ 600リムジーネ Vol.1】
メルセデス・ベンツ悠久の歴史において、最も偉大なモデルの1つが、1963年から生産された超高級セダン&リムジンの「600」シリーズだ。
中でも、この青い600リムジーネ(標準型セダン)は、日本国内では最も有名なメルセデス600ともいえるだろう。
ひところはメルセデス・ベンツを筆頭とする数多くの輸入車の輸入権を保持し、輸入車販売で国内最大手だった「ヤナセ」。
そのヤナセを発展させた功労者で、「輸入車業界の父」とも呼ばれた故・梁瀬次郎さんが、1972年に新車として導入した個体がこの青い600リムジーネだったのだ。
簗瀬さんはこのクルマを、2008年に逝去する直前まで愛用していた。
梁瀬次郎さんがこの世を去ったのちは、昔ながらのヤナセの本拠地、東京・芝浦にてメンテナンスを受け継いできたという。
そして数年前に大規模なリフレッシュが施されたのち、ヤナセクラシックカーセンターに移管。
今では各種イベントで展示される機会も多くなり、ヤナセのシンボルとして大いに活躍している。
【画像20枚】搭載されるM100型エンジンは90度V型8気筒SOHCで、メルセデス・ベンツでは初の新開発V8エンジンちなみにヤナセの子会社で、ダイムラー・ベンツの国内輸入権を有していた(1986年にメルセデス・ベンツの日本法人に移管。AMGは2000年まで)ウエスタン自動車が正規輸入したメルセデス600は、ショートボディの「リムジーネ」が61台。リムジンの「プルマン」が8台。そして式典などに使用される、後席をオープン化した「ランドレー」が1台。それらの現存車両の多くがヤナセクラシックセンターの門を叩いているという。取材日だけでもこのクルマを含めて5台にも及ぶメルセデス600の姿を、ファクトリー内で確認できた。
【2】に続くボディカラーはもちろん、メッキパーツ、ホイールキャップに至まで完璧に新車状態といえるコンディションに整えられている。前後のオーバーハングの長さは、やっぱりすごい。リアのトランクスペースの巨大さは、これもVIP御用達ならではの設定。バンパーはダブルバンパー仕様となっている。
【すべての画像を見る】【2】へ続く初出:ノスタルジックヒーロー 2020年 10月号 vol.201
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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