山あり谷あり(文字通り)、大貴誠好みの場所がいっぱいだった旧中山道の旅。
ラストは超マニアックなスバルの殿堂(?)が待っていました。
旧中山道は名所が
たくさんあって、
妻籠宿や馬籠宿なんて
行楽シーズンには宿が取れないぐらい人気なんですが、
行ってみて驚きました。
ぜんぜん観光地っぽくない。歴史的建造物の家並みが
信じられないぐらいきれいに残っていて、
ちゃんと「人が住む町」。
観光客が押し寄せても、
土産物屋が林立したりせず、
町のたたずまい
が変わることもない。
何がいちばん大切かが分かっていて、
それを未来につなげていく、という考えが徹底している。
そんな「観光地としてのあり方」に感心しながら、
大貴誠はさらにいろんなものも見ていました
旧中山道には、
別に名所と言われているわけじゃないが、
●^^●
古い素敵なもの(でも人が気づいてないもの)
がいっぱいある。
。
それを、いろんな人に知ってもらいたい。 旧道の景色旧道探訪は、地図や観光案内書より地元の人に道を聞くほうが確実だし、知られざる名物も発見できます。走っていて見つけた「桃山発電所」は大正時代から続く水力発電所。遠くから見てもかっこいい建物です。流れの豊富な木曽川からもやの上がる風景も夢みたいでした。脇道の景色も「たまらん!」感じ。どうしても道草をくいたくなります。今回はちょうどお祭りの時期で、予期せぬ通行止めが多かったけれどそれも楽しみのうち。猫がゆっくりと道を横切るのをノンビリ待っているのも楽しみのうち。
時に消えたり行き止まりになったり
石段になったりする旧道を
スバル360でたどる旅をしていると、
大貴誠は道にしみこんだ
歴史や文化を体中に浴びたような気持ちになるのです。や馬が行き交った昔から、
クルマが登場し、
新車バリバリの時代のスバル360が意気揚々と走り出し……というような
景色が
……
走馬灯のように見える。
霊感とかではなく、
舞台で
「演じる」仕事をずっとしていたので
「台本を読んでその世界を想像して感じる」のが日課みたいになっていたから、
この中山道の風景を見ても同じように
「感じ」てしまいます。
旧車に乗って走る人ならこの感じ分かってくれるんじゃないかなぁ、と
大貴誠
は言ってますが、いかがでしょうか。
馬籠→中津川
妻籠を出発、大妻籠集落を経て、この旅最後の山越えをして馬籠宿へ。馬籠は、雰囲気が「宿場界の原宿」っぽく、メジャー観光地の雰囲気がありますが、お土産屋さんはちゃんと家並みと調和した建物だし、クルマの入れない石畳の道はとてもきれいで、さすが、と感心させられます。馬籠を過ぎると、中津川へ向かって旧中山道もだんだん町の住宅地っぽくなっていきます。 そんなふうに見つけたものを、保存して飾るんじゃなくて、
実際に住んだり泊まったりできるようにしたい。日本のいろんなところから元気がわいてくるように。
真っ赤なスバル360は、そのシンボルというかマスコットキャラみたいなもの。
というところまで考えは飛んでいってしまうのであります。
下諏訪から中津川まで2泊かけて
行くクルマの旅って、
今どきはものすごくぜいたくな旅なんですが、
途切れ途切れの旧道で、何か大貴誠の
アンテナにピンとくるもの
(ふつうは見逃す)
を見つけ、
いちいち脇道にそれ、クルマをとめてヤブに分け入ったり、そんなことを半日ぐらい飲まず食わずでやったりしてると、2泊じゃとても足りませんでした。
こういう旅をしていると面白い!
1週間ぐらいかけてこのへんをのんびり、好きなように好きなだけ走り回りたいなぁと思いました。そういう、
最高にぜいたくな旅をいつか、
してみたいものです。
そんな
旧中山道・木曽路の旅の到達地は、
岐阜県中津川市。栗きんとんで有名なこの町に、
超マニアックなスバルの販売店があるという情報を入手、
これはぜったい行かねば! と
「中津スバル販売(株)」にアポを取って
訪問してきました。
津スバル販売社長の代田さんは、そんじょそこらの「自動車好き」とはワケが違います。スバル1000をはじめとするスバルの名車(もちろん360も)がピッカピカの状態で揃い、壁にはバラした部品がずらりと展示してあり(組み立てればアルシオーネが1台できあがるという!)、古民家をリフォームして「望桜荘」と名づけ、ここに似合うから、とサンバーを展示……と、他にも書き切れないほどのマニアックな「スバルの殿堂」でした。いやー、旧車マニアの世界は奥が深い! 旅の最後に、ダメ押しのように「濃くて楽しい」時間を過ごしました。ホント、旧中山道の旅、最高です。スバルを愛し、スバルの良さをたくさんの人に言いたくて言いたくてたまらない、という代田敏洋社長の
超高濃度スバルトーク
&
マニアックなスバルコレクションの数々を見せてもらって、
旅の疲れもすっかり吹っ飛んでしまいましたよ! 長旅のレディーバードの足回りもちょっと点検してもらって
「絶好調ですね」とお墨付きをもらい、
旧車におけるドライビングテクニックも分かりやすく教えていただいて、
長距離の帰路も
スイスイ走れてよかったです。
内容が濃すぎる旅でしたけど、
またぜったい旧中山道の旅、実現する! と誓ったのでした。
この旅の直前、妻籠の手前、南木曽町で豪雨による土石流災害が起こりました。
JRは運休したものの中山道はすぐに復旧し、
事前に町役場に問い合わせをしたら
「立ち入り禁止地域以外は宿もお店も通常営業しています」とのことで出かけました。
観光案内所の人も
「大丈夫ですので、ぜひ来てください」とのことで予定通りに出発しました。
そしてこの原稿の締め切り直前、
木曽に近い御嶽山の噴火で、やはり大きな被害が出ました。木曽川も火山灰で濁っている、と代田社長が教えてくれました。それでも、
こんな時、「行って応援ができる」ことがあれば
「行こう」と大貴誠は思っています。宿の近くで!!
〜古都きっと面白そうだから……後編終了〜大貴 誠(だいき・まこと) OSK日本歌劇団・元男役トップスター。ノスヒロをむさぼり読んでいた日本で唯一の歌劇スター。2010年夏、念願のスバル360を入手。このクルマと一緒に日本中を旅する予定。
掲載:ノスタルジックヒーロー 2014年12
月号 Vol.166
(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)