国産車の中で一番好きなクルマ【3】「メジャーなタイプは好みではない」記憶から消えることがなかったフローリアン|1976年式 いすゞ フローリアン スーパーデラックス

リアのシルエットはデビューから大きく変わることがなく、イタリアンデザインらしい、気品のある風格を感じさせるデザインだった

【1976年式 いすゞ フローリアン スーパーデラックス vol.3】

法人向けは中古車として市場に出回ることも少なく、フローリアンタクシーは徐々に減少。みんなの記憶からもゆっくりと消えていった。しかし、Hさんの記憶からは消えることがなかった。

月日がたち、古いクルマに興味を持ったHさんは、117クーペの購入を検討していた。そこで訪れたのが、いすゞ専門店「イスズスポーツ」。

もう117クーペを引き取るというタイミングでショップに向かうと、懐かしい特別なクルマ、フローリアンが入庫していたのだ。117クーペの購入が決まっていたが、フローリアンが気になる。そこで、手付金を払うことで、クルマをショップで保管してもらうことに。そして、しばらくしてから117クーペを売って、このフローリアンを手に入れることになった。

「子供の頃の印象が残っているのはフローリアンでしたし、希少なクルマなので、お金があっても買えないのは分かっていましたから」とHさん。

ショップでは2年間も保管していたという。もちろん117クーペも特別なクルマであったが、「メジャーなタイプは好みではない」というHさんにとっては、正しい選択だったようだ。

【画像15枚】117クーペの購入が決まっていたオーナーだったが、子どものころの記憶から消えていなかったフローリアンを目の前に、心を決めた。取材時、純正のホイールキャップが3つだけあった。長い間あと1枚をさがしているのだが、なかなか見つからない。4枚を揃えて、スチールホイールを履かせ、本来の姿に戻したいとのことだった


>>インパネにウッドパネルを採用し、高級感あふれるデザインで仕上げられている。メーター類は右から燃料などのコンビネーションメーター、スピードメーター、そして時計となっている。ドアパネルの白とインパネ回りの黒のコントラスト、メッキのモール処理、すべてにセンスを感じるインテリアデザイン。


>>クーラーが標準装備されたスーパーデラックス。助手席前には大きな吹き出し口が取り付けられている。


OWNERSVOICE/少年の時からあこがれた思い出のクルマ

タクシーで街中を走っていた白いフローリアンを目で追っていた少年時代のHさん。商用車として活躍するその姿に魅せられ、強い印象を記憶に刻んできた。国産車の中で一番好きなクルマというフローリアンにようやく巡り合え、ステアリングをにぎる度に、充実感を感じている。思い入れのあるクルマと手に入れた幸せは大きかった。




1976年式 いすゞ フローリアン スーパーデラックス(PA30MDH)

全長4305mm
全幅1620mm
全高1445mm
ホイールベース2500mm
トレッド前/後1335/1315mm
最低地上高170mm
室内長1795mm
室内幅1345mm
室内高1170mm
車両重量1040kg
乗車定員5名
登坂能力tanθ0.48
最小回転半径5.2m
エンジン型式G180Z型
エンジン種類水冷直列4気筒SOHC
総排気量1817cc
ボア×ストローク84.0×82.0mm
圧縮比8.5:1
最高出力105ps/5400rpm
最大トルク15.0㎏-m/3800rpm
変速比1速3.207/2速1.989/3速1.356/4速1.000/5速0.855/後退3.438
最終減速比3.727
燃料タンク容量44L
ステアリング形式ボールナット
サスペンション前/後ダブルウイッシュボーン/半浮動式
ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも6.45-13-4PR
発売当時価格139.5万円


【1】【2】から続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2019年6月号 vol.193
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1976年式 いすゞ フローリアン スーパーデラックス(全3記事)
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text:Keishi Watanabe/渡辺圭史 photo:Sato Ryota/佐藤亮太

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