国産車の中で一番好きなクルマ【2】「なかなか乗れないクルマという、少し遠い存在だった」販売台数は低迷したものの、タクシーなどの法人には盛んに利用された|1976年式 いすゞ フローリアン スーパーデラックス

オーナーのお気に入りが、サイドに回り込んだコンビネーションランプ。当初、ブレーキとウインカーが共有だったが、独立にともなって、バックライトが下部に取り付けられるようになった

【1976年式 いすゞ フローリアン スーパーデラックス vol.2】

1977年に角形4灯に変更され、ディーゼルエンジン搭載モデルを追加。基本的な設計は66年当初から変わらず、デザイン変更によるマイナーチェンジを繰り返してきたフローリアン。競合他車のモデルチェンジに対抗するには不利であり、販売台数は低迷。とうとう、83年の後継車種アスカにそのセグメントを明け渡し、販売を終了した。

販売台数の低迷をカバーするように、法人営業は盛んで、タクシーなどの車両で使われることが多かった。その姿を記憶している人は多く、今回のフローリアンオーナーのHさんも、フローリアンといえば白いタクシーのイメージであった。

「タクシーはそれほど頻繁に乗るクルマではありませんから、フローリアンのタクシーを見たら、特別な気分になったことを記憶しています。あこがれましたし、なかなか乗れないクルマという、少し遠い存在でした」

【画像15枚】タクシーなどの法人営業でも使われることが多く、今回のオーナーもフローリアンにはタクシーのイメージがあったという。インパネにウッドパネルを採用し、高級感あふれるデザインで仕上げられている。メーター類は右から燃料などのコンビネーションメーター、スピードメーター、そして時計となっている。ドアパネルの白とインパネ回りの黒のコントラスト、メッキのモール処理、すべてにセンスを感じるインテリアデザイン


>>ダイナミックな印象を与えるフロントマスク。フロントグリル、ライトカバーが樹脂製になっている。ライト周囲がメッキ処理されているのがデラックスの特徴。ウインカーはバンパーの下に取り付けられている。


>>グッドイヤーのアルミホイールを履く。ビンテージスタイルだが、オーナーはスチールホイールにホイールカバーを装着したいという。


>>オーナーのお気に入りが、サイドに回り込んだコンビネーションランプ。当初、ブレーキとウインカーが共有だったが、独立にともなって、バックライトが下部に取り付けられるようになった。


1976年式 いすゞ フローリアン スーパーデラックス(PA30MDH)

全長4305mm
全幅1620mm
全高1445mm
ホイールベース2500mm
トレッド前/後1335/1315mm
最低地上高170mm
室内長1795mm
室内幅1345mm
室内高1170mm
車両重量1040kg
乗車定員5名
登坂能力tanθ0.48
最小回転半径5.2m
エンジン型式G180Z型
エンジン種類水冷直列4気筒SOHC
総排気量1817cc
ボア×ストローク84.0×82.0mm
圧縮比8.5:1
最高出力105ps/5400rpm
最大トルク15.0㎏-m/3800rpm
変速比1速3.207/2速1.989/3速1.356/4速1.000/5速0.855/後退3.438
最終減速比3.727
燃料タンク容量44L
ステアリング形式ボールナット
サスペンション前/後ダブルウイッシュボーン/半浮動式
ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも6.45-13-4PR
発売当時価格139.5万円


【3】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年6月号 vol.193
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1976年式 いすゞ フローリアン スーパーデラックス(全3記事)
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text:Keishi Watanabe/渡辺圭史 photo:Sato Ryota/佐藤亮太

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