元歌劇スターとしては、たまにはエレガントに過ごす休暇などをご覧に入れようと、計画しました夏の清里。クラシックホテル、乗馬、ブルーベリー摘み、バレエ鑑賞。ええ、計画まではカンペキだったのですが……。
しつこいようですが大貴誠は歌劇の男役スターだったので、タキシードや燕尾服で歌い踊り、カッコつけまくってたのだ。しかしこの連載では、ノスヒロ手ぬぐいを鉢巻きにしてエンジンルームに頭をつっこみ、すっかり「レディーバードに取り憑かれた人」になっている。
炎天下でもビクともしない、軽快な走りで、旅の出だしは快調そのもの!
クルマで出かける場所も古い商店街や路面電車の車庫とか、渋好みの感はまぬがれない。なので今回は、現役時代をほうふつさせるオシャレな『大貴誠が優雅に過ごす高原の避暑withスバル360』でいこう、と選んだのが「清里」です。
ペンションブームで一世を風靡した山梨県の清里高原。といってもペンションではなく、大貴誠がネットで調べて一目ぼれした『清泉寮』という、清里が開拓されて最初に建った研修施設。今は宿泊客も受け入れているところに泊まることにした。ここがまた、古くて雰囲気のある山小屋のようなクラシック建築。新館・旧館とあり、もちろん開設当時の姿を残す。エアコンもついていない旧館を予約(宿泊料金は新館旧館ともとってもリーズナブルです)。
清里への途中、旧甲州街道の台ヶ原宿へ寄り道。酒蔵や和菓子屋のたたずまいにレディーバードがよく映えていました。いや、ホントここまでは快調だったんです……。
そして乗馬クラブで馬に乗り、農場でブルーベリーを摘み、ナチュラルチーズ工房で手作りチーズ体験、夜は清泉寮のメインダイニングで高原野菜のディナーと地ワイン。それじゃ食べてばっかりなので、星空の下、野外劇場のバレエ鑑賞。
と、予定は万全だったのです。が……。クルマの調子はものすごくよかったんです……最初は。炎天下、中央高速もスイスイと走り、最近は本当に調子いいなあ! と思っていたのに、高速を降りてしばらくしたら「アクセル踏んでも力がダイレクトに来ない」感じになり、給油時にチェックしてバッテリーをつなぐボルトを締め直し、いったん走りが戻ってヤレヤレと思う間もなく、清里高原への上り坂で2速に入れると減速→エンスト。何回やりなおしても同じ。1速でゆっくりゆっくり山道を上って、なんとか清泉寮にたどりつく。
清泉寮の玄関前。乗馬用に細身のジャケット、カフスボタンのついたドレスシャツでキメていたのですが……。やがて上着を脱ぎ、カフスボタンもかなぐり捨て、ついでに雨まで降ってきて、もうクルマ修理に専念。
掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年12月号 Vol.154(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)