マセラティを持つという重大事。反面、拍子抜けしてしまうほどに壊れない個体【3】1987年式 マセラティ 430

儚くも美しいイタリア製ベルリーナ

       
イタリアの名門マセラティが、1980年代に向けて送り出した「ビトゥルボ」シリーズに設定された4ドアベルリーナの第二幕。
長らくシリーズ全体がマセラティの「黒歴史」とも言われつつ、昨今では急速に評価を高めているビトゥルボ系の一つである。

【 1987年式 マセラティ 430 Vol.3】

【2】から続く

 今回、当企画である「ハチマルユーロー」に登場したマセラティ430は、1993年登録の正規輸入車。ただ生産年次は、1987年ごろと目される。
 輸入元である「ガレーヂ伊太利屋」に尋ねてみたところ、当時バブル真っ盛りだった日本では供給が追いつかないほど人気が高かったため、北米で長期在庫となっていた未登録の新車を一時的に日本市場へと回してもらったとのこと。国内ではまずガレーヂ伊太利屋で社内登録されたのち、同社で長らく工場長を務めていたKさんが愛用していたという。

 取材当時のオーナーは、自動車ライターの中込健太郎さん。このマセラティのほかにも、シルビアS15ヴァリエッタなど本誌読者好みのカルト車を愛用するエンスージアストでもある。

 彼のもとに「縁があって」やってきたという430は、都内のあるマセラティ・スペシャリストがアップトゥデートを施したこともあってか、内外装から機関部、弱点と言われる電装系に至るまで、素晴らしいコンディションを誇る。

 信頼性の低さについては都市伝説のごとく語られるビトゥルボ系マセラティながら、中込さん自身が拍子抜けしてしまうほどに壊れないというのだ。

 購入した際にはあまり深く考えることのなかった「マセラティを買ってしまった」という重大事を、今さらながら噛みしめている中込さん。これからも可能な限り長く乗り続け、このクルマとともに過ごしていきたいとのことである。


>> 【画像15枚】ステアリング、ATセレクター、ハンドブレーキレバーともに、手触りの良い木製となるコクピットなど

text : HIROMI TAKEDA/武田公実 photo : MOTOSUKE FUJII/藤井元輔

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