「メッカニカ・アッティーヴァ」なる新機構を持つ、儚くも美しいイタリア製ベルリーナ【2】1987年式 マセラティ 430

この時代のマセラティを象徴する、ゴージャス極まるインテリア

       
イタリアの名門マセラティが、1980年代に向けて送り出した「ビトゥルボ」シリーズに設定された4ドアベルリーナの第二幕。
長らくシリーズ全体がマセラティの「黒歴史」とも言われつつ、昨今では急速に評価を高めているビトゥルボ系の一つである。

【 1987年式 マセラティ 430 Vol.2】

【1】から続く

 一方、マクファーソンストラット式のフロントサスペンションには「メッカニカ・アッティーヴァ」なる新機構が採用された。これはステアリングラックとアームの間に特殊なS字型ロッドを挟むことで、ホイールが上下してもロワーアームとステアリングアームの上下関係が、影響を受けなくなる。したがって、どんな状況のもとでもステアリングレスポンスが不変であると同時に、操舵力も軽減できるとマセラティ側では説明していた。

 エクステリアは、基本的には425を踏襲するが、ラジエーターグリルがやや丸みを帯びた形状とされたほか、アロイホイールも15インチから16インチに拡大。

 一方でインテリアは、それまでダッシュパネルとシフトノブのみに採用されていたウッドが、ATセレクター周辺やステアリングホイール、ハンドブレーキレバーなどにもぜいたくに使われ、持ち前のゴージャスな雰囲気がさらに強められることになった。

 その後1990年には、各バンク当たりDOHC4バルブとなる新エンジンが4ドアボディにも組み合わされた「4.24 V」あるいは輸出向けとして「430‐4V」も追加。これらのモデルには4速ATの設定がなかったため、日本向けには内外装のみ同様の改装が行われた。

 そして4代目クワトロポルテが登場する1994年まで、生産が継続されたといわれている。


>> 【画像15枚】前後ともソファを思わせる掛け心地の本革レザーのシートなど。ホールド性よりも、明らかに快適性を重視しているようだ




>> 425以降のモデルは、アーチ型のメーターナセルを採用。この個体は元北米仕様のせいか、速度計はマイル表示も併記される。
 

1987年式 マセラティ 430


SPECIFICATIONS 諸元
●全長×全幅×全高(mm) 4430×1730×1360
●ホイールベース(mm) 2600
●トレッド(mm) 1440/1450(前/後)
●車両重量(kg) 1340
●エンジン種類 V型6気筒SOHCツインターボ
●総排気量(cc) 2789
●ボア×ストローク(mm) 94.0×67.0
●最高出力(ps/rpm) 225/5500
●最大トルク(kg-m/rpm) 37/3500
●サスペンション 前ストラット/後トレーリングアーム
●ブレーキ 前ベンチレーテッドディスク/後ディスク
●タイヤサイズ 前205/55VR15/後205/50VR15

【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年 7月号 vol.36
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1987年式 マセラティ 430(全3記事)

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【1】から続く

text : HIROMI TAKEDA/武田公実 photo : MOTOSUKE FUJII/藤井元輔

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