豪州日産に出向したオーナーも設計に携わった、U12【2】1991年式 日産 ブルーバード オーズィー

【 1991年式 日産 ブルーバード オーズィー　Vol.2】

【1】から続く

　オーナーは1970年に日産に入社し、第一車両設計部で610ブルーバードや710バイオレット、S110シルビアなどの設計にかかわった。その後、1980年に海外車両設計部の創設メンバーとして座間工場で生産するVWサンタナにかかわったことで海外とのつながりが深くなる。

　そして1986年、オーナーは豪州日産に出向することとなる。ポジションは現地国産化設計部のアドバイザーで、U12ブルーバードファンにはなじみ深い町田收さんも務めた立場である。ちょうどその頃、オーストラリアでは国産化規制が厳しくなり、国産化（豪州生産）率の向上が喫緊の課題となった。というのも、豪州政府の意向で5社が存在した国内メーカーを3グループに統合し、車種も約半分に整理して効率化を図る法案が施行されようとしていた。同時に、豪州国内で国内メーカーおよび国産車として認められるためには、85%のローカルコンテンツを達成しなければならないというハードルも課せられていたのだった。

　当時の豪州日産はR31スカイラインの4気筒をピンターラ、6気筒をスカイラインの名で国産化していたが、ピンターラの後継車としてU12の4ドアセダンを国産化することを決定。これには、豪州日産に在籍した過去があり、日産本社でU12の開発主管を務めていた町田さんが無関係ではない……とはオーナー談。加えて、そのコンポーネンツを使用した派生車種も企画された。それがオーズィーの誕生につながる。

「オーストラリアはワゴンの需要が高い国。その一方で国産化率に寄与する日本への輸出が計画されていたので、スタイリッシュで、ワゴンの高い積載性と利便性を兼ね備えた5ドアハッチバックという新しい提案をしました」とオーナー。また、シャシーとフロアの種類を増やすことによるコスト増と効率化の低下を避け、セダンと共通化が図れる5ドアハッチバックを選択したことを明らかにしてくれた。しかし、リアサスペンションはセダンのストラットのままとなるため、ラゲッジ内に大きく張り出してしまう。そこは妥協せざるを得なかったという。これらは開発にかかわるほんの一端にすぎないが、これだけでも当時の豪州の動向の波に翻弄されて苦しみながら生み出されたことが容易に想像できる。

>> 【画像19枚】中央に速度計、右に回転計、左に補機類のメーターレイアウトとなるインパネなど。基本的に本国仕様と同じだが、オーズィーは油圧メーターを備えるのが特徴




>> SSS系と同様のスポーティーな3スポークステアリングホイール。3時の方向のスポークにあるスイッチはASCD（オートスピードコントロール）用で、標準装備。国内版U12はオプション設定となる。





>> グローブボックス内にセットされたバニティミラー。国内版U12は通常通りサンバイザー裏にあるので、ここも違いのひとつだ。

1991年式 日産 ブルーバード オーズィー （HAU12）

SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高（mm） 4550×1690×1390
ホイールベース（mm） 2550
トレッド前/後（mm） 1460 / 1450
車両重量（kg） 1320
エンジン型式 SR20DE型
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量（cc） 1998
ボア×ストローク（mm） 86.0×86.0
圧縮比 9.5:1
最高出力（ps / rpm） 140 / 6400
最大トルク（kg-m / rpm） 18.2 / 4800
変速比 1速 2.785 / 2速 1.545 / 3速 1.000
4速 0.694 / 後退 2.272
最終減速比 4.133
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット（前後とも）
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク / ディスク
タイヤ 195 / 65R14（前後とも）
発売当時価格 216.0万円

【3】に続く

初出：ハチマルヒーロー 2016年 7月号 vol.36
（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1991年式 日産 ブルーバード オーズィー（全3記事）

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