【第一話[2]】チョイスしたベース車は、オーストラリアから帰国したエスロクとなった|旧車復元プロジェクト

リフトで上げて、ボディ下まわりをチェック。フロアはもちろん、フレーム、マフラー、チェーンケースなどを目視で確認

       
ジーライオンミュージアムが巨大なストックヤードに保管する不動車を、走行可能な状態にまで持っていく過程を紹介する本企画。第1弾の対象として選んだモデルはホンダのS600。まずはベース車選びからスタートだ。

【GLION MUSEUM presents 旧車復元プロジェクト 第一話[2] 1964年式 ホンダ S600】

【1】から続く

 そんな松本さんとチーフメカニックである柘植俊哉さんに同行いただき、本プロジェクトの第1弾となるモデルを、巨大なバックヤードで物色する。

 ターゲットとしたモデルは、ホンダのS600/800。モデルは問わず、オリジナルに近いことと、ダメージが少なく路上復帰までの道のりが短いことをベース車選びの第一条件とした。ちなみに当日、ストックされていたSシリーズは、クーペタイプを含め全8台。うち5台がS600、2台がS800、そして貴重なS500が1台。半世紀前に生産されたS600/800が、肩を寄せ合い並ぶ光景は、Sフリークにはきっとたまらないはずだ。

 ボディや内装の状態、足まわりやエンジンルームのコンディションまでを、柘植さんのプロの目を交え細かく比較検証する。結果、最終的に選抜されたのはオーストラリアからの帰国子女となる真っ赤なS600だ。製造年は1964年、当年とって54歳(現在では59歳。ベース車決定時の2018年時点での値)。通関証明もきっちり携えた由緒ただしき淑女だ。柘植さんによると、
「ベース車両として評価するなら、星4つといったところ。ボディの状態が思いのほかよく、エンジンルーム内のコンディションもまずまず。内装のヤレが少し気にはなったけど、それも十分修復できるレベルでオススメです」

 エンジンの状態を確認するクランキングチェックでも良好な反応を示し、路上復帰にかかるコストは予想以上におさえられる気配だ。復活させる車両が決定したところで、プロジェクトは各部をばらしての洗浄作業のプロセスへと進む。なお、ジーライオンミュージアムが、当日の各部の検証後、現状価格としてつけたプライスは、218万円(+税)。この時点だとすると、この価格で購入することが可能だった……というわけだ。


>> 【画像26枚】S500からS800、そのフレームまでが保管されているストックヤードなど


text:ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー)photo:RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックスブックス) cooperation:GLION MUSEUM/ジーライオンミュージアム

RECOMMENDED

RELATED

RANKING