「ハコスカGT‐RというクルマやS20型というエンジンは、もう二度と生まれてこない。だから壊しちゃいけない」【3】1972年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R

ノーマルスペックを重視しつつ、シライシ流のノウハウやパーツで熟成

       
浜松市在住のオーナーが所有する1972年式ハコスカGT-Rには、特別な思い出が込められている。2016年に惜しまれつつ亡くなったGT-Rの名匠・白石茂樹さんが、生前に入念なバランス取りを行ったS20型エンジンを搭載。以来ノントラブルを貫く、GT-Rの「鏡」とも呼べる1台なのだ。

【 1972年式 日産スカイライン ハードトップ 2000 GT-R Vol.3】

【2】から続く


「白石さんが亡くなられてからよく思うのは、自分にとって思っていた以上に白石さんとの出会いは大きかったということです。生前よくおっしゃっていたのは『ハコスカGT‐RというクルマやS20型というエンジンは、もう二度と生まれてこない。だから壊しちゃいけない』ということです。オーナーとしての心構えだったり、GT‐Rというクルマの正しい扱い方だったりを教えられたような気がしますね」

 そんな恩師からの教えを守り、入念に暖機運転を行ったうえで、クルマのパフォーマンスをきっちり引き出すような乗り方をいつも心がけているオーナー。最後にこう締めくくってくれた。

「大げさないい方をすれば、このGT‐Rは白石さんの『作品』だと思います。白石さんが生前培ってきたさまざまなノウハウが生きているクルマですし、それを息子の慎弥さんが引き継いで面倒をみてくれているわけですから。これからも末永く大事に乗り続けていきたいです」


>> 【画像18枚】パナスポーツのRACING/G7-08Rで、白石さんの特注カラーとなるホイールなど。フロントは15×6.5Jで、ミシュランのパイロットプレセダが組み合わされている。フロントブレーキは4ポットのMK63に交換済みで、KONIのショックとニスモのスプリングで足回りをセットアップ



ナルディのステアリングが装着されたインテリア。グローブボックスの下には当時オプションだったトレーが備わっている。ワンオフのフットレストも備わり、スポーティーなドライビングも存分に楽しめる。






運転席にはクラシックなバケットシートとウィランズの4点式ハーネスを備える。




OWNER’S VOICE/白石さんと出会えたことで、真のGT-R愛を学びました



少年時代に雑誌で見たハコスカGT-Rにあこがれ、地元でよく見かけていたという現在の車両を縁あって入手できたオーナー。仕事が多忙なこともあり、あまり乗る機会がないのが現在の悩みだ。「白石さんからも、もっと乗るようにいわれていました。コンディション維持のためにも、たくさん乗ってあげたいですね」





初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産スカイライン ハードトップ 2000 GT-R(全3記事)

関連記事:こだわりの旧車 拝見!

関連記事:GT-R



【1】【2】から続く

text : MITSUOU NOMURA/野村充央 協力 : 全日本ダットサン会歴史研究部 資料提供 : 日産GT-RC30クラブ、野村充央

RECOMMENDED

RELATED

RANKING